本連載では、“伝説のトップコンサルタント”堀紘一氏に、メルマガ編集チームがまとめたリーダーたちの悩みをぶつけ、ズバッと斬っていただきます。(2023年3月6日レター)

――ファーストリテイリングの柳井正会長が、国内の従業員約8400人を対象に年収を数%から最大で40%引き上げると発表しました。「情報製造小売業」を掲げる柳井氏は、「GAFAなどの米情報企業から優秀な人材を採用したい」とも語っています。物価上昇率よりも高い賃金を約束できるのはファーストリテイリングだけなのかという世論の受け止めがありますが、堀さんはどのようにお考えでしょうか。

【堀】世界的なインフレと物価高によってようやく日本でも給料を上げなくてはならないという風潮が広がり、物価の上昇に合わせて5%アップが最低ラインかという議論もあります。先進国では当然のように給料アップが実現できていたのに、日本だけが30年近くも据え置きになっていたわけですから、この動きには大賛成です。そんな中でファーストリテイリングが最大40%給料を引き上げることが大きなニュースになっています。昔は「糸偏」産業などと呼ばれていましたが、メーカーの中でも特に繊維やアパレル産業は給料が低いと言われてきただけに、これは喜ばしいことです。

(構成=今井道子)