本連載では、“伝説のトップコンサルタント”堀紘一氏に、メルマガ編集チームがまとめたリーダーたちの悩みをぶつけ、ズバッと斬っていただきます。(2023年2月27日レター)

――米中分断がますます懸念される中、世界貿易機関(WTO)は米中経済の完全分断で世界の生産が5兆ドル失われるという試算を出しました。日本企業は、すでに米中双方とサプライチェーンなどを通して複雑にからみあった関係をもっています。このような状況の中で、今後経営者は米中との付き合い方についてどう考えればよいでしょうか。堀さんの見立てを教えてください。

【堀】資本主義国家と共産主義国家、民主主義国家と権威主義国家。これらの間には基本的に相いれない違いがあります。こちらの世界の常識があちらの世界では常識ではない点で、ビジネスをする際にはリスクが大きすぎます。中国が巨大マーケットであることは間違いないし、中国人が優秀であることも理解したうえで、常識が通用しない国と商売するよりは、アメリカの影響下にある世界で商売するべきだと私は考えます。

(聞き手・構成=勝見明)