2025年1月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお送りします。社会部門の第2位は――。

社会部門では、中居正広氏やフジテレビの問題に関する記事が注目を集めました。『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の著者・霜田明寛さんが中居正広氏の芸能界引退を発表した背景と、フジテレビとメディア報道の食い違いに“違和感”を指摘した記事が1位に。30年来のジャニーズファンという霜田さんの直言に、読者から大きな反響がありました。2位は、元テレビ東京社員・桜美林大学教授の田淵俊彦さんが、当時のフジテレビ社長に現役社員が抱く本音を取材。テレビ業界の構造的な問題に迫ります。3位は元関西テレビ社員・神戸学院大学の鈴木洋仁准教授が、スポンサー離れが進むフジテレビの「これから」を読み解きます。1~5位のランキングは以下の通りです。

第1位 だから中居正広はひっそり消えるしかなかった…「フジテレビ会見と週刊誌報道の食い違い」に抱く強烈な違和感
第2位 CMが「ACジャパン」になっていく…中居正広氏を起用し続けたフジテレビ社長に現役社員が抱く“強烈な違和感”
第3位 もはや「フジテレビ解体」の道は避けられない…元テレビ局員が考える「スポンサー離れ」が進んだ先に起こること
第4位 江戸時代の放火犯は「火あぶり刑」だったが…吉原を全焼させた「14歳の遊女・姫菊」が受けた"刑罰"
第5位 「フジテレビの疑惑」は氷山の一角である…女子アナがいまだに「大物芸能人の接待」に利用される本当の理由

タレント・中居正広氏の女性トラブルに、フジテレビ社員が関与したと報じられている問題で、フジテレビの港浩一社長らが17日、記者会見を開いた。元テレビ東京社員で、桜美林大学教授の田淵俊彦さんは「港社長は会見で今回のトラブルを1年半前に把握していたことを明かしている。これまで何も説明せず、中居氏を起用してきた責任は重く、日本のテレビ局に共通する体質、悪癖が現れている」という――。
写真提供=共同通信社
記者会見するフジテレビの港浩一社長=17日午後、東京都港区のフジテレビ

沈黙を続けてきたフジテレビ

中居正広氏の性加害疑惑で、芸能界が揺れている。事の発端は、昨年12月19日発売の『女性セブン』(小学館)、同月25日の「スポニチ」、翌26日の『週刊文春』(文藝春秋)が相次いで中居正広氏の性加害疑惑を報道したことだ。

これらの記事は、2023年6月上旬、中居氏から意に沿わない性的行為を受けてトラブルに発展した20代の芸能関係者X子さんに、中居氏側が9000万円もの巨額解決金を支払ったという内容だった。

複数のメディア報道が、被害者とされる「20代の芸能関係者X子さん」は、昨年の夏にフジテレビを退社したアナウンサーだと報じている。そしてこの中居氏とアナウンサーの場をセッティングしたのが、フジテレビの編成幹部のA氏だと取りざたされている。

中居氏は2025年1月9日に公式サイト「のんびりなかい」で「トラブルがあったことは事実です」と述べ、示談があったことを認めて謝罪している。

一方のフジテレビは、年末に自社サイトで「(『週刊文春』の)記事中にある食事会に関しても、当該社員(前述のA氏を指す)は会の設定を含め一切関与しておりません」「会の存在自体も認識しておらず、当日、突然欠席した事実もございません」と主張し、一切の「関与」を否定したきり、公式発表をおこなっていない。そして1月15日に公式サイトを更新し、17日になってやっと港浩一社長による緊急記者会見を開くまで、およそ20日間にわたって「沈黙」を保ち続けた。

女性セブンのスクープ、投資ファンドの警告、文春砲…

なぜフジテレビは、「ダンマリ」を決め込んだのか。そして、なぜこのタイミングでの社長会見なのか。その答えは、この事件の経緯を時系列で整理してみると明確に見えてくる。

今回の性加害疑惑を『女性セブン』が最初にスクープしたのは12月19日、そしてフジテレビが公式サイトで前述の「関与否定」のコメントを出したのが27日だ。そして年が明けて14日にフジ・メディア・ホールディングスの株式を7%超保有する米国の投資ファンド、ダルトン・インベストメンツとその英国関連会社が、フジ・メディアHDに対して第三者委員会の設置を要求する書簡を送付した。

この翌日の15日、フジは公式サイトを更新して「昨年より外部の弁護士を入れて事実確認の調査を開始しており、今後の調査結果を踏まえ、適切な対応をしてまいります」と明言した。さらに翌日の16日には、『週刊文春』に同局の別の現役女性アナウンサーの告発内容が掲載され、これを受けたようなかたちで記者会見をおこなうことが発表された。

以上の流れを検証してみると、フジテレビの沈黙を破るきっかけとなったのは、14日の投資ファンドからの物言いである。もしこれがなければ、今もフジテレビは「ダンマリ」を決め込んでいたかもしれない。保有率7%とはいえ、株主の要望は無視してはいられない。

そして決定打は『週刊文春』の記事によって、常習的な「アナウンサー上納システム」が疑われる事態となったことだ。