押しが弱くて嫌と言えず、いつも仕事で貧乏くじをひかされる……。そんな悩みを抱えている人に朗報だ。元来の性格は変えられなくても、行動様式を変える方法はちゃんと存在する。
内向的な人でも後天的に取得できる技術
通説では、自己主張する人は出世すると言われている。彼らは周囲の人に自分の考えを伝え、必要な資源を要求し、昇給を求め、「ノー」とは言わせない。では、こうした行動を高く評価する文化の会社で働いている場合、あまり自己主張しないタイプの人はどうすればよいのだろう。性格的に内気な人や控えめな人も、心配する必要はない。本来の自分を大切にしながら、同時に必要なものを要求し、欲しいものを手に入れることは可能なのだ。
マネジャーが成果をあげるためには、ある程度の自信が必要不可欠だ。「適度な自己主張、他人に対する敬意、それに知性が、偉大なリーダーの要件だ」。こう語るのは、ニューヨーク市のコーチング会社、ハンデル・グループの共同創立者で会長を務めているローレン・ザンダーだ。彼女は、マサチューセッツ工科大学(MIT)で教えられている「Designing Your Life(自分の人生を設計する)」という能力開発コースの創始者でもある。
自己主張は確かに必要だ。だが、それは適度なものでなくてはいけない。「自己主張の最適レベルというものがある。そのレベルに満たなければ自分の主張が通らないし、そのレベルを超えると他の人々とうまくやっていけない」と、ダニエル・エイムズは言う。エイムズはコロンビア大学経営大学院の経営学教授で、『Pushing Up to a Point:Assertiveness and Effectiveness in Leadership and Interpersonal Dynamics』の著者でもある。
ありがたいことに「内気であることは永続的な条件ではない。自己主張は習得できる」と、ザンダーは言う。秘訣は自分を取り巻く状況を理解し、自分の行動を客観的に評価し、それから適切な調整をすることだ。