「高性能・高品質」だけでは世界で勝てない
ダイキン工業(以下「ダイキン」)は、言わずと知れた日本におけるエアコンのトップ・メーカーである。オフィスや商業施設や家庭などにおいて、空調の快適さと節電を両立させる高性能と、故障が少なく長期間安定して使い続けられる高品質を兼ね備えたエアコンを、世界各地で販売。グローバルな優良企業としての地位を高めている。
世界的にジャパン・クオリティーへの評価は高い。とはいえ日本企業としては、高性能・高品質の製品をつくっていれば、それだけで世界の市場を席巻できるわけではない。グローバル・マーケティングの観点からいえば、高性能・高品質を備えていても、それだけでは販売拡大にはつながらないことが少なくない。
ダイキンをはじめとする高度な日本製品には、一方で深刻な弱点がある。グローバルに見れば、優良な日本企業が手掛ける製品の多くは、価格が高い。昨今の円安はこの問題の解消への追い風だが、現在くらいの円安水準では、高性能・高品質の日本製品の多くが、ハイエンドの価格帯で販売されることに変わりはない。
高価格であるにもかかわらず、さまざまな国や地域の人たちに購入し、使ってもらうためには、マーケティング上のさまざまな工夫を凝らす必要がある。
グローバルな競争環境のなかにあって、ダイキンのエアコンは性能と品質の高さでトップレベルに位置する。しかし、購入する側から見れば、ダイキンのエアコンは価格もハイエンドである。この価格面でのビハインドを、世界の各地ではね返していかなければ、グローバルな販売拡大にはつながらない。