日払いの課金プランも用意
支払いは30日払い、週払いに加え、毎日支払う1日プランも用意した。タンザニアでは理髪店などの日銭商売の店舗の場合、その日の稼ぎで翌日の料金を支払うという自転車操業的な資金繰りであることが少なくないからである。
エアコンの容量は3.5KW/5.0KW/6.0KWの3種類を用意。料金は最も容量の大きい6.0KWモデルの30日プランで6万9000タンザニア・シリング(日本円換算で約4060円)、1日プランで4900タンザニア・シリング(約290円)に設定した。顧客は支払いを、携帯電話回線を利用した現地で普及している決済手段、モバイルマネーを使って行う。入金がなければ、自動的に遠隔操作でエアコンにロックをかける仕組みも開発した。
こうした遠隔操作や与信管理/顧客管理のためのアプリを、Baridi Baridiはタンザニアで開発している。タンザニアでは日本の5分の1ほどの人件費で、英語のできるソフトウエア・エンジニアを雇用できる。このシステムは将来ダイキンが他の途上国などでサブスクリプション・サービスを導入する際にも活用できるし、各国に合わせた改修なども日本より低費用で行うことができる。
高価格というビハインドをはね返すための導火線
本格展開から2年ほどが経過した今、Baridi Baridiのタンザニアでの事業は試行錯誤を繰り返しながら拡大が続いている。現地ではサブスクで使用した経験から、高性能・高品質のダイキンのエアコンの価値を理解し、購入に踏み切るオーナーも現れている。
この2年ほどのあいだに、1500台ほどのダイキンのエアコンが新たにタンザニアで稼働するようになった。現時点ではまだ利益は出ていないものの、原価を低減しながら販売を拡大していくめどが立ちつつあり、指数関数的な成長が期待できる。黒字化の達成も近いものとみられる。
サブスクという課金モデルには、マーケティング上のさまざまな可能性がある。高性能・高品質の日本製品が、高価格というビハインドをはね返し途上国での普及を実現するための導火線として、サブスクを活用できる――そんな可能性が、ダイキンのタンザニアでの事例から見えてくる