大手スーパーが見つけた新しい商機

セブン&アイ・ホールディングスは本年3月、2021年創業のクイックコマース企業、OniGOとの連携の拡大を発表した。まずはイトーヨーカドーの80店舗にOniGOの即配サービスを導入し、さらに昨年経営統合したヨークの店舗にも導入を拡大。最終的にはイトーヨーカドーの店舗の大半に、OniGOによるクイックコマース型の宅配サービスが導入される計画だ。

オニゴーの配送イメージ
オニゴーの配送イメージ(画像=プレスリリースより)

セブン&アイ・ホールディングスは、昨秋よりイトーヨーカドーの一部店舗でOniGOとの連携を開始し、その効果を確認してきた。その上で上述のクイックコマースの本格導入に踏み切っており、今後の展開が注目される。

すでに東京都23区全域での配達が可能となっており、東京都内や千葉、埼玉、神奈川の3県のほか、大阪府や愛知県などの一部地域でもサービス提供を開始している。今後も、対象地域を拡大しながら配送拠点を増やしていく予定だ。アプリの登録会員は約18万人(日本経済新聞 2024年4月19日)、23年末に全国31店舗だった配送拠点は、7月現在で120店舗以上(同社ウェブサイトより)に拡大している。 。

クイックコマースとはそもそも何か

クイックコマースとは、コロナ禍のもとでの新生活の体験を経て、欧米などでも広がりつつある宅配ビジネスの新たな方式である。宅配サービスとして先行するウーバーやネットスーパー、さらにはアマゾンとも少し毛色の違う、新しいサービスである。

最大の特徴は、注文から配達までの時間の短さだ。OniGOの場合、対象となるサービスエリア内であれば、ネットで注文してから30分~1時間ほどで、約7000品目以上の生鮮食品や加工食品、あるいは各種の生活用品などを届けてもらうことができる

クイックコマースには、大別すると二つの方式がある。第一はスーパーやコンビニなどの小売店舗から商品を届ける方式であり、第二はクイックコマース専用の配送拠点から商品を届ける方式である。後者における配送拠点は、ダーク・ストアと呼ばれる。ストアといってもそこはピッキングの作業場であり、対面での販売は行われず、一般の消費者にはその存在が知られないため「ダーク」と称される。