イオングループのミニスーパー「まいばすけっと」が好調だ。2024年2月期の営業利益は前年比約4倍の74億円、首都圏で1100店舗以上を展開している。何が強みなのか。流通アナリストの中井彰人さんは「コンビニサイズながら、食品スーパーとして一通りの品揃えがある。イオングループの供給インフラを活用することで、バックヤードを狭くても大丈夫にし、店舗のほとんどを売り場として活用しつつ、人手もかからない仕組みを構築しているのだ」という――。
イオングループに貢献しているまいばすけっとの増益
イオングループのミニスーパー運営子会社まいばすけっと(以下まいばす)が絶好調だ。
2024年2月期が13期目の決算であったのだが、売上高2578億円(前年比+15.7%)、営業利益74億円(前年の約4倍)、店舗数1119店となり、気がつくと食品スーパーの全国ランキングでもトップ20に入るほどの存在に成長した(図表1)。
2023年度、イオンの営業利益は過去最高を更新したのであるが、セグメント別営業利益における増益貢献度(全体では411億円増益)を見るとSM(食品スーパー)部門の増益が191億円と半分くらいを占めている(図表2)。中でも、まいばすは+55億円となっており、大きく貢献していることがわかる。ほぼ首都圏の中心部に集中的に出店しているため、それ以外の住民の方々には、ほとんど知られていないこの企業、なぜ好調なのか、その背景をみてみよう。
「コンビニが撤退すると、まいばすができる」
まいばすは、コンビニサイズ(200m2~270m2くらい)のミニスーパーながら、生鮮3品、惣菜含めて、食品スーパーとして一通りの品揃えがある。東京23区、川崎、横浜の人口密集地のコンビニが複数出店している場所で、「どこかが撤退すると、まいばすができる」といった感じでどんどん増えている。定価販売というイメージのコンビニに対して、まいばすはスーパー価格で販売しているため、コンビニを目指して来た人の一定割合が、まいばすに流れていき、少しずつ、その便利さと安さが浸透しつつある。
東京23区と京浜間に優先的に出店したまいばすは、図表3のような店舗配置となっており、首都圏の人口密集地に1100店舗以上展開することに成功した。こうしたチェーンは他に類をみない。なぜ、これまでは、こうしたスーパーがなかったのだろうか。