ウーバーの「おつかい」サービスが開始
6月、ウーバーイーツは、買い物代行の新サービスを開始した。アプリを通じて、ウーバーの配達員にスーパーなどでの「おつかい」を頼めるというものだ。
新サービスの名称は、「ピック・パック・ペイ(PPP)」。その名前の通り、ほしい商品を注文すると、配達員が店舗でその商品を選び(Pick)、袋詰めを行い(Pack)、専用のデジタルカードで支払い(Pay)を済ませたうえで自宅やオフィスに届けてくれる。
PPPは、イオングループが首都圏で展開する小型スーパー「まいばすけっと」で導入される。このサービスはアメリカやオーストラリアなど6万店以上で導入されているが、日本では、まいばすけっとが初めてだ。まずは東京23区・横浜市・川崎市の20店舗からスタートし、年内に1000店舗へと拡大するほか、他のイオングループの店舗でも導入を検討する。当然、その先には全国のスーパーやコンビニ、ドラッグストアへの拡大を見据えているのだろう。
注文してから30分で自宅に商品が届く
これまでもウーバーイーツは、提携するスーパーやコンビニの商品宅配を拡充させてきたが、従来のサービスは、店舗の従業員が注文された商品を集めて配達員に渡すというものだったので店側の負担が重かった。これに対してPPPでは、配達員が商品の選択、袋詰め、支払いまでを代行するので、人手の足りない店舗にとっては導入するメリットが大きい。
利用者にとっても買い物の選択肢が増える。PPPでは店頭価格に手数料などが上乗せされるが、注文してから30分程度で配達されるため、買い物に行く余裕はないがすぐに商品を手に入れたいときや、病気で外出できないときなどにニーズがあるだろう。
ただし、ペットボトル飲料など急ぎで必要というわけではなく、まとめ買いで価格が安くなるものや重くて運びにくいものは、アマゾンなどのECサイトを利用する選択肢がすでにある。そのため、PPPは配達手数料を支払ってでも利便性を求める富裕層や、時間がないビジネスマンが多い都心部を中心に広がっていくのではないか。
一方、こうしたPPPのサービスを単なる買い物代行として捉えると、本質を見誤る。なぜならサービスの背景には、「ビッグデータ×AIカンパニー」であるウーバーの巧みな狙いが読み取れるからだ。