実家の生前整理に悩む人は多い。「もったいない」からと拒否する親を変える方法はあるのか。ミニマリストのTakeruさんは、「60代以降は片づけができなくなるため、早めの対策がおすすめ。実家の片づけをスムーズにするためにはまず相手を知るところから始めよう」という――。

※本稿は、ミニマリストTakeru『60日で9割捨てる片づけ術』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

洋服などで散らかった部屋
写真=iStock.com/Yusuke Ide
※写真はイメージです

親の持ち物の「9割」がゴミになる

遺品整理を経験したことがある方はご存知だと思いますが、僕たちが死んだ後の遺品は約9割がゴミとなります。つまり、身内といえど他人の持ち物はそのほとんどがいらないモノで、処分されることになるのです。

実際、祖母の生前整理でも、叔父の生前整理でも、ほぼ9割のモノは処分。残りの1割は、介護施設や病院で使う用として日用品や数着の衣類を残したり、相続の手続きで必要そうな書類や貴重品だけでした。

あんなに家にモノがあったのに、結局人生の最期は少しのモノしか必要ない。病院にも、介護施設にも、あの世にも、大量のモノは持っていけませんから。

そして、家に残った大量のモノたちは家族が処分することになり、それが大きな負担となります。親が残したモノはあなたに負担が、あなたが残したモノは配偶者や兄弟、子どもに負担がいくのです。

「片づけ」はお金や仕事にも影響する

片づけは本当に大変な作業で、まずは肉体的に大きな負担がかかります。分別が大変で時間がかかる上、ゴミ袋や家具・家電を運び出したりと、想像以上に重労働です。

さらに最悪の場合、その家のトイレが汚すぎて用を足せなかったり、水道水が飲めなかったり、真夏や真冬の時期に冷暖房機器が使えない中で片づけることもあります。片づけが原因で、大きく体調を崩す人もいるでしょう。

その上、片づけをするにはお金もかかります。業者に頼めば、まるまる処分するために数十万〜百万円というかなりの大金が出ていきます。

自分たちで生前整理・遺品整理するとなれば、帰省のための交通費や宿泊費、飲食代、ゴミ袋費用、粗大ゴミの処分費用などにもお金がかかります。遺産相続である程度お金が入ってくるならいいですが、場合によっては自費でお金を払って処分することもあります。

それだけではありません。生前整理や遺品整理は長期戦なので、仕事を何度も休んで片づけを行わなければいけなかったり、誰かに子どもの世話をしてもらっている間に片づけたりと、周りの家族や仕事にまで影響が出るのです。

もちろん、老後を楽しむためにはある程度のモノは必要でしょう。でも、「使ってないモノ」「役目を果たしたモノ」まで残しておく必要はありません。「程よく残し、程よく捨てておく」がちょうどいいのかもしれません。