起業家的行動の可能性を閉ざす行動とは

王将果樹園と天童市の人たちの事業の柔軟なシフトから何を学ぶか。起業家的行動はコロナ禍の事業への悪影響を緩和する。たしかに万能薬とはいえないが、活用できる局面は少なくない。ではなぜ、多くの企業では、起業家精神にあふれる王将果樹園のような新結合が進まないのか。エフェクチュエーションから生まれる可能性を閉ざすのは、次のような人たちの行動である。

・手持ちのシステムやネットワーク、設備や人材の転用など、既存のリソースに潜む新しい可能性を掘り起こすことには興味を示さない。
・新しい日常への対応を求められると、新たなシステムやネットワーク、設備や人材を獲得すべく、大がかりな投資や予算配分を求める。
・既存の計画を達成することや、これまでの制度の趣旨を守ることにこだわり、新しい日常のもとでのゲームチェンジに踏み出そうとしない。
・失敗から新たな可能性を引き出すことよりも、失敗の責任追及に邁進する。
・日々のニュースや社内情報を踏まえて、自らの考えや決定を振り返ることよりも、過去の経験則などにもとづく持論にこだわり続ける。

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