平日でも行列が絶えない人気店

老祥記は、神戸の中華街、南京町の一角に店を構える豚まん専門店である。できたての豚まんを求める人々で、連日行列が絶えない。行列は平均すれば50名ほどで、待ち時間は30分ほど。休日には100名を超える行列となることもある。店内では常時20人ほどの店員が、生地をこね、具を皮に包み、蒸し上がった豚まんをテイクアウトで販売している。

行列が絶えない神戸・南京町の老祥記本店(現在は立替工事中)
行列が絶えない神戸・南京町の老祥記本店(現在は立替工事中)[出典=株式会社老祥記 プレスリリース(PR TIMES)

1915年の創業以来100年以上にわたって、老祥記はこの同じ場所で同じ豚まんをつくり続けてきた。現在はビルの老朽化で店舗のリニューアル工事を行っており、南京町の広場を挟んで向かい側にある姉妹店の曹家包子館で販売を続けている。リニューアル後の老祥記には、新しくイートインスペースなども設けられる予定である。

30坪(コンビニエンスストアの標準店の3分の1)ほどの小さな店舗で、1日に1万~2万個ほどの豚まんをつくる。その一部は近隣の百貨店などに卸すが、大半は南京街の2店舗(現在は1店舗)で販売し、毎日完売する。本店で販売するのは基本の醤油味一種類だけ。保存しやすいレトルトパックや冷凍品は販売していない。

老祥記は神戸の観光名所のひとつともいえる有名店だが、ビジネスモデルという観点から見ても興味深い。老祥記のビジネスモデルは収益性が高いだけではなく、地域創生にもつながるユニークな展開を見せている。本年7月に老祥記代表取締役に就任予定の4代目、曹祐仁さんにお話をうかがった。

大型化・多店舗化に背を向けて

小売店やレストランが成長を果たすためのビジネスモデルの基本は、店舗の大型化、そして多店舗化である。行列の絶えない人気店であれば、豚まん以外のメニューも出すレストランなどを併設して店を大型化し、さらに店舗数を増やしていけば、売り上げの拡大は見込める。

ところが老祥記は、大型化にも多店舗化にも背を向け続けてきた。南京町のほかには自店舗をもたず、その2つの店舗もそれぞれ30坪ほどの小さな店である。

では老祥記は、未来に向けてどのような歩みを進めようとしているのか。そこにどのような可能性があるというのか。