「新事業を生み出す起業家的人材」を育てたい

21世紀に入って以降、国内外の多くの企業や産業にとっての成長エンジンのひとつは、グローバル化だった。しかし2010年代の後半になると、それまで成長を続けていた世界の貿易の伸びが停滞するようになっていく。そして2020年代以降の世界では、政治的あるいは安全保障上の観点からグローバル化に逆行する動きが広がり、グローバル化を成長のエンジンと期待することは難しくなっている。

アイデアのイメージ
写真=iStock.com/Dilok Klaisataporn
※写真はイメージです

こうした状況のもとで、成長のもうひとつのエンジンである、イノベーションへの期待が一段と高まっている。経済学や経営学ではイノベーションの担い手となる人を起業家(アントレプレナー)という。起業家はイノベーションを通じて、新しい事業を生み出し、企業や産業、さらには社会を変えていく。

企業の創業期は起業家的な行動のプロセスとなるが、事業の拡大とともにこの気風は廃れ、改めて社内での起業家的人材の育成に取り組む必要が生じることが少なくない。そうしたニーズにこたえているのが、「レンタル移籍」で知られるローンディールという人材育成の新興企業である。

期間限定で大企業→ベンチャー企業へ

ローンディールの「レンタル移籍」は、大企業の人材が6~12カ月ほどベンチャー企業で働き、価値創造や事業開発に実際にかかわることで、働くなかでの学びを実現するプログラムである。サッカーのクラブ間のレンタル移籍のように、企業間でも移籍の仕組みを整えることで、人材育成の新しい可能性が生まれるのではないか――。このようなアイデアから、このプログラムは生まれた。

2015年の開始以降、ローンディールの「レンタル移籍」は大企業を含む多数の会社で採用されるようになっている。送り出し側の移籍元企業はNTT西日本、NTTドコモ、小野薬品工業、中外製薬、デンソー、日産自動車、東芝テック、野村ホールディングスなど、延べ80社を超える。移籍先のベンチャー企業の登録も現在では900社を超えており、大企業などの側の移籍の目的やねらいに合った移籍先を選定できる。

プログラムの運営のための費用は、移籍元の企業と移籍先のベンチャー企業の双方が支払う。プログラム期間中の移籍者は研修中の扱いとなり、その給与などは移籍元の企業が負担する。