移籍元にも移籍先にもメリットが

「レンタル移籍」は、移籍元の大企業、そして移籍先のベンチャー企業の双方にとって利点のあるプログラムである。

大企業の側は、社内の人材が起業家的な思考や行動をOJTで学ぶ機会を拡大できる。海外のMBAコースに社員を派遣するよりコストも安く、関連会社への出向より、学びの目的や自社の狙いに合ったきめ細かなサポートが期待できる。

ジグソーパズルピースのビジネスパーソン
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一方のベンチャー企業は、大企業の能力の高い人材に業務に参加してもらえる。そのためにベンチャー側が要する費用は、同等の能力をもった人材を中途採用する場合よりもはるかに小さい。

つまり移籍元の企業は人材育成を、移籍先のベンチャーは事業強化を実現することができるわけである。

戻ってきた社員へのサポートを改善

「レンタル移籍」におけるローンディールの役割は、派遣元の企業からその目的やねらいを個別に聞き取り、それに合ったベンチャー企業を900社の候補のなかから選定することである。ベンチャー企業にとっても、取引先などからの出向に比べ、より自社の事情に合った人材の受け入れを実現できる。

移籍期間中、同社は移籍先での社員の活動について週次/月次のリポートを移籍元に届ける。さらに移籍中の社員には、外部の起業家やコンサルタントに面接する機会を月一回設け、移籍先で直面した問題や悩みについて相談できる体制を整えている。

そして移籍の終了後も、ローンディールは戻ってきた社員への配慮や対応について、移籍元の人事部などに助言を行う。ベンチャー企業で起業家的行動を存分に体験してきた人材を、ただ元の職場に戻したのでは、環境の違いが大きすぎて葛藤やジレンマを生じやすいからだ。

「レンタル移籍」の開始当初は、復帰後のギャップに悩んだ元移籍者から「会社を辞めたい」と連絡が入り、助言を行うようなこともあったという。こうした経験の蓄積から、ローンディールでは戻ってきた社員が元の企業で学びの成果を存分に生かせるよう、移籍後のサポートもきめ細かく行っている。