「まず行動」精神を学ぶためには…
では、何をすればそのエフェクチュエーション型の行動を身につけられるのか。座学的な内容についてはMBAコースや社内研修などでカバーできるとしても、実務家にとっては実際に仕事をしながら学び、能力を養うことが重要となる。いわゆるOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)型の学びである。
ところが、経営が安定している企業では、エフェクチュエーションをOJTで学べるような起業家的機会が不足するケースも少なくない。そうしたなかで、ローンディールの「レンタル移籍」は、類似の教育サービスや研修機会にはない派遣元と派遣先のマッチングや派遣後のサポートについての充実した仕組みを提供するプログラムとなっている。
「レンタル移籍」のビジネスモデルは、利用者のニーズに応える需要対応と、競合に対する優位性を備える競争対応という、戦略計画的なマーケティングの要件を多面的に実現している。さぞ徹底した調査と分析によって起業家的機会を見いだし、コーゼーション的に戦略計画を立案したのであろうと考えたくなるかもしれない。
だが、ローンディールの現在の代表取締役である後藤幸起氏にお話をうかがうと、実際にはまず行動から始め、それによって生まれたさまざまな出会いをもとに、さらに新しい行動を重ねるなかで現在のビジネスモデルが見いだされていったのだという。エフェクチュエーション型の行動を学ぶための「レンタル移籍」というプログラム自体もまた、エフェクチュアルにつくられていったのである。
転職で壁にぶつかった創業者の気づき
ローンディールの創業者の原田未来氏が、「レンタル移籍」の原型となるアイデアを抱いたのは、2014年のことだった。大学卒業後にベンチャー企業に入社し、そこで10年以上働いた原田氏は、そのベンチャーの上場を見届けたタイミングで、あるIT企業に転職した。異なる組織も経験してみたいと考えてのことだったが、転職先ではうまくパフォーマンスを発揮できず、壁にぶつかっていた。
とはいえ、この転職をめぐる経験は、原田氏にとってのよい学びの機会でもあった。長年働いた企業を辞めて外に出てみなければ、気づけなかったことが少なくなかった。ならば、会社を辞めずに社外を見る機会を増やす仕組みをつくれば、多くの人たちが自分と同じような学びを経験できるのではないか。しかし、そのような仕組みが、そもそも成り立つものなのか――。
