笑うしかない「記憶喪失」展開
秀吉(池松壮亮)「おぬしは、わしの弟か?」
秀長(仲野太賀)「物事を忘れてしまったじゃと? なぜ、そんなことに⁉」
「豊臣兄弟!」第22回「播磨大誤算」より
NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第22回「播磨大誤算」の展開には、笑ってしまった。
秀吉(池松壮亮)が夜中にもうろうとしたまま庭に落ちて頭をぶつけ、なんと記憶喪失に。自分が何者かも分からなくなってしまった。共に播磨攻めに赴いている弟・秀長(仲野太賀)や家臣たちから「おお~い、思い出せ!」と胸ぐらをつかまれて責められる始末。
笑うしかない展開なのだが、この展開にしらけた、または笑った後ふと冷静になった人もいただろう。
歴史ある大河ドラマ(本作で65作目)でこんな展開、あっていいのだろうか?
ここ数回の「豊臣兄弟!」はエンタメ路線に振り切った感がある。
第21回のタイトルは「風雲!竹田城」で、往年のバラエティ番組「風雲!たけし城」へのオマージュだった(ほぼタイトルだけだったが)。
その前の第20回「本物の平蜘蛛」では松永久秀(竹中直人)が名器“平蜘蛛”らしき茶釜を2つ並べ、豊臣兄弟に「どっちが本物(一流)か分かるか?」と究極の2択クイズを迫っていた。まるで、浜ちゃん(浜田雅功)司会の人気番組「芸能人格付けチェック」のようだった。
秀吉がのび太で、秀長がドラえもん
とことんふざけ、大河ドラマという伝統枠であえてくだらないことをやる。その意気やよし! と言えなくもない。
それにしても記憶喪失は、数々の漫画やアニメでさんざん“こすられてきた”設定ではある。「豊臣兄弟!」で織田信長を演じている小栗旬が主演した『信長協奏曲』でも信長(小栗)が記憶喪失になる展開があり、そもそもタイムスリップで始まっていた。同作は小学館の漫画が原作だ。
もともと「豊臣兄弟!」は『少年ジャンプ』掲載の漫画のような大河ドラマだと言われてきた。松川博敬プロデューサー自身が「少年マンガのように痛快です」と明言し、キャストもインタビューで「このドラマには少年漫画のようなポップさを感じます」(竹中半兵衛役の菅田将暉)、「脚本は、漫画のようにテンポがいいですね」(兄弟の母なか役の坂井真紀)と語っている(『NHK大河ドラマ・ガイド 豊臣兄弟! 前編』、同『後編』NHK出版)。
脚本の八津弘幸は、秀吉と秀長の関係を描くとき『ドラえもん』をイメージしているという。秀吉がのび太で、秀長がドラえもん、信長がジャイアンだそうだ(『NHK大河ドラマ・ガイド 豊臣兄弟! 前編』)。だから、秀吉は信長から無茶振りをされては秀長に「ドラえもん~」と泣きつく。つまり、『少年ジャンプ』どころか、もっと幼少年向けの『コロコロコミック』も入っているわけである。



