違和感は主演2人の配役にも…
また、「豊臣兄弟!」はニチアサ大河(ニチヨルなのに)と考えると、キャストの配置がなんだか皮肉なことになっている。長年、俳優へのインタビューをしてきた筆者としては気になるポイントだ。
ニチアサこと東映制作による特撮ヒーローものは俳優の登竜門であり、有名な役者を多数輩出してきた。本作にも元仮面ライダーの菅田将暉(竹中半兵衛役)、要潤(明智光秀役)や元戦隊ヒーローの結木滉星(織田信孝役)、濱正悟(毛利輝元役)がキャスティングされている。
現在ではそんな風潮はほぼないが、ひと昔前まで彼らは「ライダー俳優」などと呼ばれ、イケメンだけれど演技力は今ひとつ、大人向けのドラマにはそぐわないと見られてきた。現にニチアサ出身でこれまで大河の主演を張った例はなく、来年の大河「逆賊の幕臣」の松坂桃李(『侍戦隊シンケンジャー』のレッド)がついに前例を破る(吉沢亮は「青天を衝け」に主演したが「仮面ライダーフォーゼ」では主演ではなかった)。
そう、映画『国宝』の吉沢亮だって横浜流星(「烈車戦隊トッキュウジャー」のトッキュウ4号役)だって、10代の頃はニチアサに出ていた。そのイメージを覆し、ちゃんと芝居ができる役者として認められ、日本アカデミー賞などを獲得するポジションになるまでには、本人の高い意識と芸術的な作品選び、舞台に出て演技力を磨くなどの、それこそ血の滲むような努力が必要になる。
仲野・池松の俳優キャリアは全く別物
それに対して仲野太賀と池松壮亮は、ニチアサを通ってこなかった俳優だ。
2人とも子役時代から活動。大河ドラマにも早くから参加し、仲野は「風林火山」(2007年)や「江〜姫たちの戦国〜」(2011年)、池松は「義経」(2005年)、「風林火山」(2007年)に出演した。他にも評価の高い映画やドラマに出て、“若手だけれどすごい演技をする”俳優として知られてきた。
分かりやすく言うと、仲野と池松はキャリア初期から商業ベースに乗らず、本格志向で役者道を邁進し、結果的に30代前半で大河の主役と準主役の座をつかんだわけだ。
日本大学芸術学部出身の池松はインタビューで、これまでは映画などを優先してきたが、家族や親戚の要望もあって、大河ドラマに準主役で出ることを決めたと語っている。

