人を死に至らしめるウイルスを持つ「動物A」とは?
コロナウイルスも時間が経過し、流行の様相も大きく変化しています。その変化を正しく理解するには、私たちの脳のクセを知る必要があります。まず、頭の体操だと思って動物A、動物Bが何か考えてみましょう。
動物Aは、人を死に至らしめるウイルスを持っていて、子供だけでなく大人も食い殺すことがある動物です。口内にカプノサイトファーガという菌を常に持っていて嚙みつかれると命にかかわる敗血症を発症します。人間は時々襲われ、被害も毎年報告されています。
次は動物Bです。古代では、人間の子供を捕食していたことが報道されました。動物Bは、移動距離が大きく広範囲に生息しています。時折、狂暴化します。重症肺炎を起こすウイルスや細菌を運搬することも知られています。
みなさん、わかりましたか? 恐ろしい動物たちでした。答えは、Aが犬でBは鳥です。犬は忠実でかわいらしく、忠犬ハチ公の話などを思い浮かべるかもしれません。鳥も、美しく羽ばたく姿や歌うインコを思い出します。
たくさんの要素から偏った点だけをピックアップする
しかし、犬は発症すると致死率100%の狂犬病ウイルスやカプノサイトファーガ菌(※1)を持っています。オオカミと祖先を共通にする犬による痛ましい被害は、毎年報告されています。
鳥も同様で、古代に生息した大きな鳥が人間の子供を捕食していたことが話題になりました。鳥は、クラミジア菌やインフルエンザウイルスを保有しています。クラミジアの肺炎は、オウム病とも言われます(※2)。インコは、シャケ化と呼ばれる暴走モードに入ることがあります。
私は、犬についても鳥についてもウソはつきませんでした。でも、多くの人が描いている像とは大きく異なるものだったでしょう。物事には、たくさんの要素や側面が存在しています。その細かな情報を掘り下げても、全体像にならないことを古来より「群盲象を評す」と呼んできました(※3)。
逆に、全体像や真実を知っている人はこのことを利用することができます。たくさんの要素のなかから都合の良い物だけをピックアップして披露するわけです。知られていないカタカナの専門用語を入れた動物クイズもその一つでした。マーケティングなどの行動経済学でもよく利用される手法です。