「陽性判明数の増加=感染拡大」ではない
東京都が公開している情報を素直にみると私にはメディアが報道しているような感染拡大には感じられません。
そうではなく「全国的に既に症状も出さずに人々に薄く広がって蔓延している状況」だとすると一番スッキリします。理由は、陽性率が低く一定で、重症者が増えていないことです。
発症していないウイルス保有者が一定数すでに存在するだけであれば、PCRをやればやるほど一時的に粘膜に付着しているだけの人も含め、陽性者は増加します。人知れず少数の陽性者が、日本中で再生産されては治癒して消滅していると考えると辻褄が合います。
どんなに検査数を増加させても陽性率が変わらないということは、一定数が存在するだけ、つまり「常に一定数が発生し一定数が自然に治っている平衡状態」を意味しています。もし、検査数の方が一定で陽性率の方がどんどん上昇して陽性者数が増えているなら陽性者が実際に増えているので感染拡大といえます。
幸い日本では、陽性数が著増して1カ月経過しても重症者は微減微増を繰り返すだ
検査すればするほどCOVID-19は、夏季には日本ではただの感冒ウイルスであることがより鮮明化するだけでしょう。8月の夏に沖縄で流行しているのも季節性インフルそっくりです(※12)。
現状の陽性者の「判明数の増大」を「感染拡大」と呼ぶにはもっと慎重になった方が良いと思っています。私たちは、アポフェニア(少数の法則)のバイアスへ誘導する陽性者数増大や入院者増大という一つの情報で、代表性ヒューリスティックに判断して群盲像を評する状態にならないように注意しましょう。
陽性者は「米5万粒に10粒以下」の少数
ウイルス感染症の重症度は、最初に暴露されるウイルス量に左右されます。私たちには異物排除の自然免疫があるので、多少の外敵は粘膜で排除することができますし侵入されてもすぐに退治してしまいます。
たくさんのウイルスがいっぺんに体内に入ってくると、免疫のバリアが突破されやすいだけでなく多くの体細胞に取りつかれて重症化します。避けるべきなのは、短期間に大量のウイルスに暴露されることです。
私は、現在の状況を患者さんにお米を使って説明しています。
精米1kgは5万粒です。都民1500万人は300袋に相当します。300〜500人の陽性者の玄米を均等に割り振っても5万粒に1~2粒、1000人でも3粒ほどにすぎません。増加したという今でも陽性者はそもそも少数です。玄米が偏っていれば、なおさら暴露は減ります。しかも時間が経つと治癒するので、玄米も勝手に精米に変わっていきます。
たくさんのウイルスに暴露されなければ、感染は成立しにくいのですから、この程度では感染は成立せず“精米”は“玄米化”しにくい状況でしょう。たとえ東京で検査数を数倍にしても1袋5万粒に10粒以下じゃない? なぜ一つの県全体で数人だけで大騒ぎになるの? そもそも玄米を見つける必要があるの? 賢明な皆さんは、そう思われるでしょう。私もそう思います(※13)。
コロナウイルスは「蔓延常在化」している
ゴールを設定せずに、いたずらに業務停止や休校を命じることは有害でしかないと思っています。
新型インフルエンザでも、数十人がいっぺんに感染した時にはじめて学級閉鎖になり、校舎の消毒は行われませんでした。これまではそれぐらい休校には慎重だったはずです。新型インフルエンザ流行でも、ノロでもロタでもO-157でも休業要請なんてしてきませんでした。
学校も、飲食店、旅行業、旅客運送業を含めたくさんのお仕事の人が、重症化しにくい一つのウイルスで被害が続くのは合理的ではありません。
少数の人に陽性が判明したことをクラスター、いあわせた人を濃厚接触者と呼ぶべきかどうかも慎重になるべきだと思っています。検査数増加による判明者の拡大に過ぎず、調べていない隣の場所でも「濃厚接触」が起きているかもしれません。
また、その日にPCR陰性でも次の日に陰性である保証もありません。目標は、日本人全員の毎日PCR? 国土からの駆逐? 封じ込め? どれも不可能です。
ましてや普遍的に存在し始めたコロナウイルスで差別や解雇など社会的排除は無意味です。しばらくすると体からウイルスはいなくなります。差別している人々の方が、陽性かもしれません。そんなことは社会に損害を与え、自分の心も傷つくだけです。