「1強」なのに不戦敗を検討する埼玉自民党の事情
「番狂わせ」と言っていいだろう。8月25日の埼玉県知事選は、大方の予想に反し、野党勢力が推す前参院議員の大野元裕氏が、自民、公明の与党が推すスポーツライター・青島健太氏に競り勝った。選挙戦中盤までは知名度に勝る青島氏が圧倒的にリードを保っていたのだが、終盤で逆転した。
埼玉では大野氏の辞任に伴う参院補選が10月に行われるが、自民党内ではひそかに「不戦敗」説がささやかれている。「1強」を謳歌する自民党が、なぜこんなに弱気になるのか。
勢いのない野党に負けたダメージは大きい
「サヨナラ負けだよ」
自民党関係者は、敗れた青島氏が元プロ野球選手だったことになぞらえて自虐的な笑みを浮かべた。
テレビ出演が豊富な青島氏は知名度が高い。しゃべり口も滑らかだ。告示前は、圧勝が予想されていた。選挙戦が始まると「接戦」と言われるようになったが、それでも大半の世論調査や期日前投票の出口調査では青島氏が上にいた。データを分析すると、投票日前日の24日あたりから風向きが変わり、25日の投票日になだれ込んだようだ。文字通り「9回裏のサヨナラゲーム」だった。票差は約5万7000票だった。
ここで押さえておかなければならないのは「サヨナラ勝ち」した野党側に、目に見えた勝因が見当たらないことだ。