政調会長留任の岸田氏を「憲法担当」に

安倍晋三首相は、9月11日に自民党役員人事と内閣改造を断行する。麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、二階俊博党幹事長の留任が早々と決定。国民の関心もあまり高くないようだが、その中で注目すべき人事がある。政調会長を留任する予定の岸田文雄氏に「憲法担当」を担わせようというものだ。

「ポスト安倍」を目指す岸田氏に重責を任せて安倍氏が後継育成を始めた、との見方もあるようだが、そう甘い話ではない。岸田氏に待っているのは、うま味のないイバラの道だけだ。

写真=時事通信フォト
自民党の両院議員総会で談笑する岸田文雄政調会長(左)と加藤勝信総務会長=8月1日、国会内

改憲論議の顔として与野党交渉の仕切り役に

7月21日の参院選以降、安倍氏は「参院選では憲法改正も大きな争点となった。議論を前に進める政党を選ぶのか、議論すら拒否する政党を選ぶのか。少なくとも議論は行うべきであるというのが、国民の審判だ」と繰り返してきている。そして、その言葉通り改憲に向けた与野党の議論を加速させるシフトを今回の人事で完成させる考えだ。

そこで白羽の矢を立てたのが岸田氏だ。

岸田氏は政調会長の留任が決まっている。安倍氏は現段階では、党憲法改正推進本部長も兼務させて名実ともに改憲論議の先頭に立たせる案と、政調会長として憲法も含めた論議の前面に立たせる案の2案を検討しているようだが、いずれにしても岸田氏を「改憲論議の顔」としようと考えていることに変わりない。