セールスポイントである「語り」に批判が…

9月11日に、メンバーが一新された安倍内閣は、「滞貨一掃内閣」との批判も漏れるほどの派閥順送り人事だった。にもかかわらず、内閣の支持は安定している。その下支えとなっているのは小泉進次郎環境相の初入閣だろう。

ただ、その小泉氏自身の「リスク」が指摘され始めた。それも、彼のセールスポイントである「語り」に批判が集まり始めたのだという。いったいどういうことなのか。

写真=時事通信フォト
災害廃棄物の仮置き場を視察後に取材に応じる小泉進次郎環境相(右から2人目)と、千葉県南房総市の石井裕市長(左)=2019年9月16日、同市役所

「汚染土をどうするのか」「私は30年後も生きている」

9月17日のことだ。福島県を訪問した小泉氏は記者団から、福島第一原発事故の影響で出た汚染土の最終処分場について質問を受けた。これに対する小泉氏の回答が、これだ。

「30年後の自分は何歳か。(東日本大震災の)発災直後から考えていた。その30年後の約束を守れるかどうかの節目を見届けることができる政治家だと思う」

いつものように、文節ごとに「ため」をつくった語り口から繰り出されるセリフは、もっともらしく耳に届くが、実は何を言っているのか分からない。質問者は最終処分場を作るという政府の約束を果たせるか、閣僚としての決意を聞いているのだが、小泉氏は、自分が約束を守るかどうかは答えず、結論が出ることまで生きていると答えているにすぎないのだ。

言うまでもなく質問した記者は小泉氏に対し、閣僚として約束を守る決意をただそうとした。それに対し、小泉氏は「30年後も生きている」という趣旨の発言にとどめた。現在38歳の小泉氏は、恐らく30年後も生きているだろうが、記者は「そんなことは知っている」と突っ込みを入れたくなったことだろう。