男性の平均賃金 大企業38万7000円、小企業29万2000円
4月といえば昇給の季節である。
勤続年数が1年積み上がるごとに給与がアップする定期昇給に加えて、アベノミクス以降、賃上げ(ベースアップ)も続いている。だが、その一方で日本の賃金差は拡大し、格差社会に突き進んでいる。
働き方改革の一環として、政府は「同一労働同一賃金」の実現に向けた法改正を、来年の2020年4月1日に施行する(中小企業は21年4月1日)。だが、同一労働同一賃金といってもあくまで同じ企業内の正規と非正規の賃金格差の是正策にすぎない。
日本で最大の賃金格差といえば、大企業と中小企業の格差であるが、そこは放置されたままだ。中小企業(従業員300人未満)は日本全体の企業数の99.7%を占め、働く人は全従業員数の約7割だが、大企業との賃金格差は大きい。
初任給は高卒・大卒ともに大企業とほぼ同じであるが、その後の給与の上がり方が違う。
厚生労働省の統計によると、2018年の大企業(1000人以上)の男性の平均賃金は38万7000円なのに対し、小企業(100人未満)は29万2000円と約10万円近い差がある(2018年賃金構造基本統計調査)。
50代前半男性 大企業50万6000円、小企業33万7500円
賃金水準がピークとなる50~54歳になると格差はさらに拡大する。大企業の男性の平均賃金が50万6600円であるのに対し、小企業は33万7500円。その差約17万円だ。この年齢層の家庭は大学に進学する子供も多いと思われるが、とてもその余裕があるとは思えないし、自宅通学をしない場合の仕送り額の平均約7万円を捻出するのはかなり大変に違いない。
国際的に見ても日本の格差は大きい。
大企業の賃金を100とした場合の中小企業の賃金は68.8。ドイツの68.7とほぼ同じだ。アメリカが60.9と格差が最も大きいが、イギリス99.0、イタリア92.0、オランダ、デンマーク、フィンランドは100を超えるなど、まさに企業規模間の同一労働同一賃金を実現している(労働政策研究・研修機構『データブック国際労働比較2017』)。