同じ業界同じ35歳で、上と下では10万~13万円の差

しかも長年続いてきた格差は大企業や中小企業の違いだけではなく、労働者間でも拡大している。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/champc)

連合の構成組織のひとつである機械・金属産業の労働組合である「ものづくり産業労働組合JAM」(組合員35万人)が実態調査を実施している。組合員約25万人の賃金データを10階層に分けて各層の平均給与(所定内賃金)を出している。これを見ると、自分がどの層に位置しているのかわかるだろう(組合員なので管理職は基本的に含まれない)。

それによると30歳の平均は約25万8000円。上位10%(第9十分位数)の平均は約30万7000円、下位10%(第1十分位数)が約21万1000円。

35歳の平均は約29万7000円。上位10%約36万5000円、下位10%約23万4000円となっている。35歳くらいまでは上位と下位の差が10万~13万円であるが、年齢を重ねるとさらに格差は広がる。以下、平均と上位10%と下位10%の違いを示す。

40歳 →【平均】31万8000円/【上位】39万円/【下位】24万8000円
45歳 →【平均】33万8000円/【上位】41万1000円/【下位】26万3000円
50歳 →【平均】36万2000円/【上位】43万9000円/【下位】27万9000円
55歳 →【平均】37万3000円/【上位】45万6000円/【下位】28万3000円

同じ業界同じ40歳で上下差は14万2000円、55歳は17万3000円

同じ正社員でも40歳の上位と下位の差は14万2000円、55歳になると17万3000円に拡大する。しかも下位層は30万円にも満たない。

初任給は大企業も中小企業も変わらないと書いたが、大企業と中小企業、さらには労働者間で年齢とともに格差が拡大していく構造が固定化している。

日本の大企業と中小企業の格差が大きい理由として、元請け・下請けの関係で「理由なく値引きさせる」「発注者の事情のみで価格を一方的に決める」といった取引慣行が背景にあると言われる。政府や労働組合も中小企業に無理な要求をしないように下請け取引の改善を大企業に要請している。

しかし、この構造が簡単に変わるとも思えない。また、日本の労働市場は中小企業から大企業への転職者が少なく、大企業から中小企業に転職する人は中高年層に限定されるといういびつな構造になっている。

今後、格差の固定化・拡大が進行すれば学生の大企業志向がさらに強まり、中小企業を希望する学生がますます少なくなるだろう。

お隣の韓国では財閥系大企業と中小企業の賃金格差が深刻な社会問題になっており、大企業を目指した高学歴志向も強まっている。日本も決して例外ではない。

(写真=iStock.com)
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