部下の改善すべき点が見えていても、それを本人に伝えることは簡単ではない。下手に伝えるとかえってやる気をなくされたり、逆恨みされたりしかねないからだ。しかし、フィードバックは適切に行えば、必ず生産性のアップにつながる。

ミシガン州にある人材派遣業のケリー・サービシズは、昨年約70万人のスタッフを新しい職場に派遣した。同社副社長のスティーブ・アームストロングは、上司による人事評価結果のフィードバックの質が、スタッフの成功や失敗を左右することが多いと言う。

多くの企業はフィードバックに不安感を持っているが、フィードバックは社員が持続的に向上する潜在能力を解き放つ鍵である。助けたいと思うスタッフに嫌われずにフィードバックするにはどうすればよいだろうか。

この答えは、話題を主に業績(つまり過去)から、変化について(つまり未来)へと切り替えることから始めることだ。言葉を換えれば、社員の過去の失敗を責めずに、成長するにはどうすべきかを具体的に伝えるのだ。克服すべき過去の遺物ではなく、達成すべき目標を社員に与えよう。フィードバックの究極の目的は「果たすべき役割と遂げるべき成長について、社員を激励し、鼓舞することだ」と、チャールス・H・ビショップ Jr.は著書(文末参照)の中で述べている。

管理職や人事担当者は、社員の業績のみならず、改善の可能性を見極めなければならない、と彼は言う。持続的な向上のための努力を期待されていることがわかれば、社員は反発することなく、フィードバックの結果に対して前向きに取り組むようになる。

「変化や向上に対する意欲を会社が高く評価する」ということを部下に伝え、それを部下も理解すれば、フィードバックはうんざりするイベントではなく、昇進と評価につながるような目標を達成するツールとなる。半年ごとの正式なフィードバックは、フィードバックの循環をつくり出す、あるいは再活性化する理想的な「とっかかり」を提供するであろう。