無駄を省き、精度を上げることで、生産プロセスを飛躍的に改革させるシックス・シグマ。製造業ではもはや「常識」だが、サービスの現場でも浸透しつつある。標準化にばらつきのあるサービス業で、この改革手法を効果的に使うためのコツとは。

サービス業でももはや「定番」の手法

シックス・シグマのプログラムは従来製造業における品質改善の処方箋として利用されてきた。だが、今日この手法は、サービス業を含むほとんどすべての業種のサービス部門で、業績向上のために使われている。

シックス・シグマは元来1980年代にモトローラの生産プロセスのために開発されたものだ。モトローラの作業工程は大量生産と高度の標準化によって特徴づけられる。その目標は、ほとんど完璧に近い結果を成し遂げること──シックス・シグマ・レベルの質とは製品100万個あたりの欠陥率が3、4個以下──により無駄を省くことである。ゼネラル・エレクトリック(GE)やアライド・シグナルは、シックス・シグマのおかげで何十億ドルものコストを削減できているという。

しかし、シックス・シグマはもはや、製造業のためだけのものではない。企業は、受取勘定や売上金の管理、研究開発のような非製造プロセスの整備にもシックス・シグマを利用している。金融機関、消費者製品やヘルスケア企業においても導入ラッシュが繰り広げられている。

もちろん、シックス・シグマはすべてのサービス・プロセスに導入することはできないし、導入できる場合でもいくらかの修正が必要だ。以下は、サービス・プロセスにおいてシックス・シグマの手法を使うときの具体的アドバイスである。

[ 1 ] プロセスの中で最もシックス・シグマに適している部分を決定する

サービスを構成するそれぞれのプロセスに焦点をあて、その工程が高度にカスタマイズされているか、おおむねカスタマイズされているか、あるいはまったくされていないかを識別する。

ITシステムのように高度にカスタマイズされているプロセスは、変化に富んだタスクを含み、多くの異なった状況で利用されている。このような工程では、シックス・シグマを適用するコストは、利益を上回ることが多い。

おおむねカスタマイズされているプロセスは、利用の頻度が多い場合、あるいは広告の媒体購入のように高い効率が顕著なコスト削減につながる場合は、シックス・シグマの格好の適用対象候補となる。

また、クレジットカードの口座管理やファストフード・サービスのような標準化されたサービスはシックス・シグマの導入により、実質的な利益を得ることが期待できる。企業内の受取勘定や給与および福利厚生の管理などにおいては、シックス・シグマの潜在性が最も大きい。