(4)過去の業績と必要な変化を結びつけて話す

社員が優れた成果を挙げた分野を探し出し、そうした成果を挙げた能力が、改善を必要とする分野に生かせることを教えよう。単に、こうしろと熱心に説得するだけではなく、なぜその部下が必要な課題に対処できると思うか具体的に伝え、部下に自信をつけさせよう。今の職場での課題が彼の実績とどのように関連するかを説明するのだ。

こうしたプロセスが通用しない社員には、個人的フィードバックを補う目的で、グループ・フィードバックがお勧めだ。部門別や職種別のミーティングなど対立的にならない場を設け、特定の社員を集中攻撃せずに、たとえば顧客満足度を上昇させる方法などの課題を討議する。優れた社員をミーティングに参加させ、改善の必要な社員と彼らのアイデアやどんな点に留意しているかなどをシェアさせる。改善すべき点が明確になる方向へディスカッションをリードする。そして、ミーティングの後、問題行動のある社員を呼び、特にその社員にあてはまる点をしっかり納得させよう。

(5)アクション・プランを確認する

明確になった問題点をどのように改めるかを社員に尋ね、部下の提案を求めよう。「人は、他人からこうしろと言われるよりも自分の考えに従って行動しがちだから、自分で答えを見つけさせることは、極めて優れた手法だ」と、グロスマンとパーキンソンは言う。

部下が作成したアイデア、期限、計画などが現実的か、また計測可能かを確認させる。そのうえで、この計画を公式な文書のかたちにする。

(6)フォローする

アクション・プランの進み具合を評価するために、次のフィードバックの日時を決めておこう。だが、その日まで待つ必要はない。優れた管理職であるためにはアクション・プランを出発点として、堅苦しくないフィードバックを定期的に続けていくことが望ましい。

フィードバックをアクション・プランに直接関連させて行えば、フィードバックの公正さやタイミングについて部下が抱く割り切れない思いは大幅に軽減するだろう。

 

褒めることも忘れてはいけない

ポジティブなフィードバックを継続的に与える際、管理職には創造性が求められる。まず言葉で褒めるのが第1歩だが、褒める方法は数限りなくあるとバーバラ・A・グランツは著書(文末参照)の中で指摘する。

彼女は、管理職が部下を推奨する手紙やノートを経営陣に書き、そのコピーを社員の個人用ファイルに保管することを勧めている。あるいは、その部下に食事をおごったり、思いがけない休日、コンサートのチケット、レストランのギフト券などをプレゼントすることも効果的だと言う。

もし管理職がこのようなことを面倒と感じるならば、リスクを留意すべきだ。グランツは言う。「人は組織を離れるのではない。ボスを離れるのだ」。

※参考文献
『The Complete Idiot's Guide to Dealing with Difficult Employees』by Robert Bacal(Alpha Books,2000)
『Making Change Happen One Person at a Time; Accessing Change Capacity within Your Organization』by Charles H. Bishop Jr.(AMACOM,2001)
『Handle with Care:Motivating and Retaining Employees』by Barbara A.Glanz(McGraw-Hill,2002)
『Becoming a Successful Manager』by Jack H.Grossman and J.Robert Parkinson(Contemporary Books,2002)

(翻訳=ディプロマット)