「会社に行きたくない」と思うのはどういう感情なのか。心理カウンセラーの中島輝さんは「私は、ストレス以上、うつ病未満の状態を『うつ感情』と言っている。完璧主義者ほど陥りやすく、じわじわと心を蝕むので注意が必要だ」という。元日本マイクロソフト執行役員の澤円さんとの対談をお届けする――。

※本稿は、マイナビ健康経営のYouTubeチャンネル「Bring.」の動画「ストレス以上、うつ病未満――。誰もが抱く「うつ感情」の正体と、そこから回復するための簡単メソッド」を抜粋し、再編集したものです。

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ストレス以上、うつ病未満の「うつ感情」

【澤円】中島さんは、ご著書『自己肯定感が高まる うつ感情のトリセツ』(きずな出版)で、「うつ感情」という概念を提示されています。うつ感情とはどのようなものなのでしょうか。また、うつ感情に悩む人から相談を受けることは増えていますか?

【中島輝】確実に増えています。わたしが提示した「うつ感情」とは、端的にいうと、「ストレス以上、うつ病未満」の状態を指します。専門医からうつ病と診断されるほどではないものの、通常以上にストレスを溜め込んでしまっていますから、心身ともに大きなダメージを受けている状態です。

うつ病となると、朝起きられない状態がずっと続くようなこともあります。でも、うつ感情の状態では、「なんだか、今日は会社に行きたくないな」と思っても、なんとか乗り越えられてしまうのです。でも、また何日かすると同じようにメンタルダウンしてしまい、そのようなことを繰り返す傾向があります。

変化を求められ、無意識にストレスを溜め込んでいる

【澤円】うつ感情を訴える人が増えている背景には、どのようなものがあるとお考えですか?

【中島輝】その人が置かれている状況もありさまざまかと思いますが、コロナ禍の影響は大きいと見ています。コロナ禍により、社会は大きく変化しました。例えば、リモートワークが普及するなど、働き方も変わりましたよね? かつてのあたりまえがあたりまえではなくなり、働き方に限らず、さまざまなものごとのやり方に大きな変化が生じたのです。

人間は、変化を嫌う生き物です。しかし、時代が大きく変わるなかで否が応でも変化と柔軟性を求められ、自分では気づかないうちにたくさんのストレスを溜め込んでしまった人が多いのだと思います。

中島輝さん
写真=石塚雅人
中島輝さん