幸福度は「今この瞬間ゾーン」への滞在時間に比例する
「人生の目的は、幸福と心の平安を得ることである」
と言ったのは、ブラアン・トレーシー(アメリカ人の著名なビジネスコンサルタント)です。この定義に、私も賛同します。
私たちは自分を生きている、自分の人生を生きているという実感がなければ、豊かな人生を送ることはできません。では、ブライアンの言う、「幸福と心の平安」を手に入れるためにはどうすればいいのでしょうか?
ポイントは「今この瞬間ゾーンの滞在時間」を長くすることができるかだと私は考えます。人生全体で、また毎日の生活の中で、“ゾーン”に入る時間をどれだけ長くできるか。それが、幸福と心の平安を手に入れるための重要な要素になります。
【1:ストレスは未来の不安と過去の後悔からやってくる】
今、マインドフルネス(精神集中)がブームです。瞑想などによって自己の内面を静かに観察し、「今ここ」に集中すること。それが、マインドフルネスです。
ストレスマネジメントの観点で言えば、未来の不安や過去の後悔から抜け出すには外的環境を変えるよりも、「今この瞬間に浸る」ことのほうがいい。「今この瞬間に浸る」とは、まさにある一定のゾーンに入って雑念がない状態です。
座禅や瞑想をして、呼吸に集中しているとそれ以外のことが頭から徐々に消えていきます。そこには静寂があり、穏やかさや豊かさが広がってきます。禅や瞑想が昔から存在し人々に引き継がれてきたのは、本質的な意味がそこに存在するからに他なりません。
前述した「心の平安」を得るためには、まずは今この瞬間ゾーンに入ることが重要ですが、入り方には好ましいパターンと好ましくないパターンがあります。例えば、私たちが疲れたり不安になったりした際に心のメンテナンスが不十分だと、つい悪い習慣によってゾーンに入ろうとすることがあります。
アルコールは、そのいい例です。お酒で未来の不安と過去の後悔から逃れ、今この瞬間ゾーンに入る。また、パチンコやストロットなど刺激が強くギャンブル性の高い娯楽で、今この瞬間に入ろうとする。現実から“逃避”して勝ち負けの世界にはまり込むのです。言うまでもなくアルコールやギャンブルは度が過ぎ依存状態になると、健康や経済の破滅を招きます。これを、ジャンクフロー(体に悪い没頭状態)と呼びましょう。