「良いサービス」って何?
飲食店の仕事というのは、一般的には「サービス産業」や「ホスピタリティ産業」に分類されます。「良いお店」の条件としては、「おいしいこと」や「素敵な空間であること」に加えて、「サービスが良い」という項目を思い浮かべる人も多いことでしょう。では「サービスが良い」とは具体的にはどういうことなのでしょうか。
「笑顔で接してくれる」「言葉遣いが丁寧」「きびきびと働いている」「以前行ったことを覚えていてくれた」「きちんと目を見て会話ができる」「元気が良い」「店の外でずっと見送ってくれた」などなど、その意味するところは多岐にわたります。
ファストフード店と高級レストランでは求められるサービスは異なるはずです。また受け手であるお客の中にも、「元気で威勢が良い」のが好きな人もいれば、「落ち着きがあって丁寧」を求める人もいます。そう考えると、良いサービスにこれぞという正解はなさそうです。
ただし、個人的に違和感を抱いてしまうのは、「サプライズ」や「感動」といったものを、店もお客も安易に求める傾向が強まっていないだろうかという点です。「会話から今日が誕生日だと気付いてくれて、最後にバースデイケーキをプレゼントしてくれた」「コートのボタンが取れそうになっていたら、知らぬ間にきちんと縫い付けてくれた」というように、SNSでシェアしたくなるようなエピソードこそが「素敵なサービス」と思われているようです。