悪く言えば「こうもりワイン」?
今年も桜の季節がやってきました。この時期には、一部の飲料メーカーや飲食店で「ロゼワイン」に力を入れるところが出てきます。ロゼワインはきれいなピンク色が特徴ですが、それと桜とをひっかけたプロモーションを行うのです。確かに、ロゼワインの華やかな雰囲気は、花見の気分を盛り上げるのに一役買ってくれることでしょう。
ところで、ロゼワインとはそもそも何なのでしょうか。その前に、赤ワインと白ワインの違いについてごく簡単に見てみましょう。赤ワインは黒ブドウ(皮の色の濃いブドウ)を使うのに対して、白ワインは白ブドウ(皮の色の薄いブドウ)が原料となります。また赤ワインは皮や種を一緒に醸造するのに対して、白ワインではそれらは最初から取り除かれます。その結果、液体の色、そして味わいがまったく異なる2種類のワインが生まれるのです。
一方で、ロゼワインにはいくつかの製法があります。代表的なのは、赤ワインと同様に黒ブドウを原料として醸造するものの、その途中で皮や種を取り除くという作り方です。赤ワインと白ワインの製造方法の合わせ技であり、結果的に色合いや風味も両者の中間的な存在となっています。
よく言えば「いいとこ取り」ですが、裏を返せば「どっちつかず」と受け止められてもおかしくありません。そのことが、実際の消費にも影響を与えているようです。メルシャンが発表しているデータによれば、2012年の国内ワイン消費における色別比率は、赤ワインが54%、白ワインが37%なのに対して、ロゼワインは9%に留まっているのです。