従来型そば屋の3類型

次第に気温が高くなり、日中には暑いと感じる日も出てきました。そうなると涼しげでさっぱりした食べ物が欲しくなってくるものです。そばやうどんなどの麺類はそんなときにぴったりの食べ物と言えるでしょう。今回はその中でも「そば」について考えてみたいと思います。

まずひと口に「そば屋」と言っても、その経営スタイルによって、大きく3つのタイプに分類ができます。ひとつはいわゆる「立ち食いそば型」です。もりそばやかけそばならば、1杯300円程度で食べられることが多いでしょう(ちなみに大手チェーンの中には小麦粉比率が半分を超えるところもあるようで、そうなると果たしてそれを「そば」と呼んでよいかには疑問も残ります)。低価格・高回転の典型的なファストフード型のビジネスモデルです。

2つ目に「こだわりのそば道型」があります。そば粉は国産で、毎日店主自ら手打ちをし、だしやかえしにも徹底的にこだわった「渾身の一杯」を提供するタイプの店です。そば好きが食べ歩くのは大抵このタイプで、メディアもしばしば取材に訪れます。店主の思想や哲学がそばに込められており、言うなればそれは「そば道」と表現できるかもしれません。天せいろや鴨せいろが2000円以上することも珍しくないなど、高価格であることが特徴です。

そして3つ目は「家族経営型」で、これは端的に言えば「街のおそば屋さん」という存在です。特別おいしいというわけではないかもしれませんが、そば以外に丼ものなど豊富なメニューがあったり、出前をしてくれたりして、その「機能性」が重宝されています。家族中心の人員構成のために人件費率が抑えられ、比較的低価格の設定でも収益を生むことが可能です。