健康のまま長生きするにはどうしたらいいのか。医師の和田秀樹さんは「健康を意識して日ごろの運動を欠かさないようにしている人がいるが、激しい運動は体に負荷がかかりむしろ逆効果になってしまう。歳を重ねてきたら、運動をする場合でもあまり負荷のかからないものを選んだほうがいい」という――。(第1回)
※本稿は、和田秀樹『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)の一部を再編集したものです。
小太りの人のほうがやせ型よりも長生きする
あまりにも日常的になりすぎて、“ブーム”と呼ぶのもはばかられますが、TVや雑誌、書籍などは、相変わらずさまざまなダイエット法があふれ返っています。そして、そのほとんどは、医学的、科学的データに基づいたものではありません。こうした出版や放送のあり方について、私は大きな疑問を感じています。
なかでも、ダイエットしたい方に人気の「糖質制限」ですが、糖分を我慢すると脳に十分なブドウ糖が行き渡らず、脳の機能が衰えます。極端に言ってしまうとバカになります。
メディアがダイエットをすすめるのは、愚民化政策の一環ではないかと陰謀論めいたことまで感じています。40歳以上になると、特定健康診査、いわゆる「メタボ健診」が実施されます。糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を早期に見つけ、異常がある人には保健師や管理栄養士などによる保健指導を行い、これによって生活習慣病を改善し、ひいては心筋梗塞や脳卒中などを予防することが狙いと言われています。
しかし、現実には、さまざまな研究で「小太りの人のほうがやせ型の人よりも長生きする」という結果が出ています。アメリカなどでは、歩けなくなるほど太ってしまい、食事での栄養摂取を制限する手術を行うような人もいるようですが、日本ではそんな人はまずいません。
それなのにわざわざ国が先導してまでやせさせることの必要性はまったく感じられません。