飲食店の儲けは2割?
「飲食店って儲かるの?」、これは実によく聞かれる質問です。当たり前ですがあらゆる業界と同じで、「繁盛すれば儲かるし、赤字を垂れ流しているところもある」というのが、この問いに対する正しくもつまらない回答です。ただし、飲食店というのはお客の側の立場ではよく知っていても、その収益構造については意外にわからないようですので、今回はそんな数字について見ていきましょう。
飲食店にとって大きな支出と言えば、「人件費」と「食材費」です。人件費についてはおおよその目安は売上に対して30%程度というのが基本です。つまり、お昼に食べた1000円のハンバーグ定食に支払ったうちの300円は、料理人やホールスタッフのお給料になったということです。
もちろんその基本から外れることも多く、例えば自動販売機で食券を買うような牛丼店やラーメン店では、その比率を抑えるようにしています。あるいはビュッフェ(食べ放題)の業態も、食材にお金をかけざるを得ない分、人件費は低く抑えられています。考えてみれば、ビュッフェというのは、注文を取ったり配膳をしたりする手間が存在しないので、相対的には客席数に対するスタッフ数が少なく、人件費がかからないのです。
食材費の話は後ほど詳しく述べるとしますが、その比率(一般的には「原価率」と呼ぶ)も人件費同様30%がひとつのラインとされています。この他の支出としては、家賃が10%程度、水道光熱費と雑費などその他の経費を合わせたものが10~15%程度かかってきます。つまり、支出の合計は80~85%であることが一般的です。
裏を返せば、飲食店の利益率は15~20%程度のことが多いのです。もちろん、開業して数年の店であれば、キャッシュフロー上では返済が、PL(損益計算)においては減価償却費が乗ってきますから、単純にその分が儲けとは言えませんが、返済や償却を終えればまずまずの収益性と言えるかもしれません。ただし、飲食店の廃業率は極めて高いので、最初の数年をサバイブすること自体のハードルが高いわけではありますが。