「おもてなし」には、ただの接客にはない、何か特別な響きがある。一流のサービスを提供するプロフェッショナルが、その極意を披露。

「おもてなし」って一体何だと思いますか。百貨店など小売りにおいて、私たちの提供するサービスは2種類に分けられます。一つは販売行為としてのサービス。お客様の求める商品を提供することから、ご相談に乗ること、修理修繕、値引きや粗品を差し上げることも含まれます。

日本橋高島屋コンシェルジュ 敷田正法氏

片やおもてなしというのは、ビジネスマナーにのっとった服装をして身だしなみを整えたうえで、挨拶、態度、言葉で歓迎・感謝の気持ちを表現することです。ホスピタリティーとも言い換えられます。サービスにホスピタリティーが伴わなければ、お客様は満足しません。たとえばある商品をどんなに安く買えたとしても、店員がそれを投げて寄越したとしたらどうでしょう。それよりは店員が目を見て、笑顔で「ありがとうございます」と言って手渡したほうが満足度は高いのではないでしょうか。つまりサービスとホスピタリティーが融合して初めて顧客満足に結びつくのです。したがっておもてなしとは、お客様と信頼関係を築く行為であり、「また高島屋に来よう」と思っていただくためのものだと言えます。

(長山清子=構成 澁谷高晴=撮影)
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