「収束系」会議と「発散系」会議

「収束系」会議と「発散系」会議

どんな会議であっても、場所はいつもの会議室で。そんな習慣が定着していたら、いますぐ見直したほうがいいかもしれません。会議には目的によってふさわしい場があるのです。

収束系の会議は、社内の会議室など普段から仕事をしている場所のほうが、緊張感があっていいでしょう。しかし、ブレーンストーミングのような発散系の会議は別です。いつもと同じ空間では、ありきたりの発想しか浮かびません。頭を柔らかくするには、ときにはホテルでオフサイトミーティングを開いたり、普段は使わない応接室などを利用するのも効果的です。いつもの会議室を使わざるをえない場合でも、お菓子を用意したり、ノータイでの参加を要請するといった工夫がほしいところ。カジュアルさを演出することで発想が柔軟になります。

収束系の会議と発散系の会議では、机の配置も変えるべきです。じつは机の配置によって出席者の視線が変わり、それが会議の進行と結果にも大きな影響を与えます。

机をクラスルーム型に並べると、出席者の視線は前方に立つプレゼンテーターに集中します。視線が一点に集まると余計なことを考えなくなるのか、不思議と意見も収束の方向へと向かいます。逆にラウンド型に並べると、視線があちこちに分散して、意見に幅が出ます。この特徴を利用して配置を変えれば、いつもと同じ会議室でも、目的に合わせて会議を進行することができます。

出席者の視線をコントロールするには、設備にも気を配りたいところです。最近は資料をプロジェクタで映し、レーザーポインタを使って席に座りながら説明するスタイルが珍しくありませんが、これでは発言者の位置とレーザーで指し示す資料の位置が離れてしまうため、出席者は両方に視線を散らすことになります。

私が収束系会議で活用しているのは、シンプルなホワイトボード。自分で前に出て書きながら発言するため、視線が分散せず、意見をまとめやすくなります。

そればかりでなく、ホワイトボードに相手の発言を書き留めれば、リアルタイムの議事録としても使えます。「本当は賛成していない」「数字が間違って伝わっている」というトラブルを未然に防ぐ意味でも、出席者が見ている前で発言を書き留めるべきです。

会議が始まる前には、ホワイトボードに会議の目的を書いておくといいでしょう。配った資料の1ページ目に目的が書いてあっても、会議が進行するうちに忘れられてしまうもの。ホワイドボードの目立つ位置に書いてあれば、いつでも目的に立ち返ることができます。

発散系の会議では、付箋紙の活用がお勧めです。付箋紙にアイデアを書いて自分で貼りに行くスタイルで進行すると、出席者は必然的に体を動かすことになります。歩き回れば視線も動いて、アイデアが凝り固まることを防げます。

視線は思考と連動しています。それを踏まえたうえで場所や機材選びをすることが、会議上手になるコツなのです。

(構成=村上 敬)