「連絡ミス」を防ぐには、どうすればいいか。ビジネスコンサルタントの細谷功さんは「『何度もメールを送ったのだから大丈夫だろう』と考える人は、かならずミスを繰り返す。これこそが、『比較的仕事のできる』人の陥りがちな罠だからだ」という――。

※本稿は、細谷功『今すぐできて、一生役立つ 地頭力のはじめ方』(大和書房)の一部を再編集したものです。

パソコンの前で頭を抱えるビジネスマン
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コミュニケーションにおいては「受け手が神様」

仮説思考とは結論から考えること、最終目的地から逆算して考えることであると述べました。

「向こう側から考える」という仮説思考は、人と人との円滑なコミュニケーションにも応用できます。コミュニケーションでいう「こちら側」とは伝え手である自分のこと、「向こう側」とは受け手である相手(単数のこともあれば複数のこともある)のことです。

仮説思考によるコミュニケーションでは、「受け手側にどういうメッセージが伝わればよいか」がすべての起点となります。

そもそも、コミュニケーションの目的は何でしょうか?

それは、受け手に的確にメッセージが伝わって最終的には何らかのアクションにつながるということでしょう。コミュニケーションは相手があって成立するものであり、独りよがりのコミュニケーションはあり得ません。

当たり前の話ですが、私たちの身のまわりでは、この基本が逆転しているケースがしばしば見られます。

図表1を見てください。コミュニケーションの本来の目的、つまり達成すべき最終ゴールは「受け手に適切なメッセージが伝わる」ことであり、伝え手(自分)自身が伝える方法は、コミュニケーションの手段の一つにすぎません。

目的が達成できるのであれば、伝え手以外の第三者が伝えてもいいですし、受け手が自主的にメッセージを受け取って理解につとめる方法も手段のうちです。

ところが往々にして見られるのが伝え手側の論理でメッセージを伝えることに一生懸命になっている状況です。実際、コミュニケーションを上達させたい人がすぐに飛びつくのが、「伝え方」のノウハウです。文章の書き方、プレゼンテーションのやり方といったことです。

ゴールは相手にメッセージを伝えること

これらは、コミュニケーションの目的を十分にわかっていれば問題ありません。しかし、そうでない場合は、下手にテクニックだけを覚えるとかえってタチが悪く、「相手はどうして理解できないんだ」などと、理解されないのを受け手側のせいにしてしまいます。

「受け手が神様」であることを徹底的に認識することがコミュニケーション上達の第一歩、そしてすべてだと思います。伝わらなければ、いかにうまく伝えても何の意味もないのです。