頼まれていた仕事が期限までに間に合わないとき、どのように相手に伝えればいいか。起業家の野原秀介さんは「『提出予定の資料がずれ込みそうです』などと連絡してしまう人は三流以下だと言わざるを得ない。ビジネスを分かっている人は、メール一通にしてもExitシナリオが描けている」という――。

※本稿は、野原秀介『投資思考』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

スマホ片手にノートパソコンを使用する人の手元
写真=iStock.com/hirun
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投資もビジネスも「Exitイメージ」が大事な理由

さて、

“投資”というと一般的なイメージでは株式などに資金を投下する、その行為のみが意識されることが多いですが、実はその前工程・後工程が存在しています。一般的な投資活動のライフサイクルは以下のようになっています。

ファイナンス(投資資金の調達)
ソーシング(投資案件の開拓)
投資判断・実行
投資期間(株式・債券などに資金を投じている期間)
Exit(資産を売却し、利益を確定させる)

そしてこの投資のライフサイクルの中で、最も重要なステップを1つ決めるとすれば、それは⑤のExit(資産を売却し、利益を確定させる)に他なりません。

これは多くの人にとっては意外かもしれません。

③投資判断・実行こそがインテリジェンスの介在する行為で、経験豊富で頭脳明晰な投資家が知恵を絞っている箇所のように考えてしまいそうです。投資スタイルにもよりますが、実は投資判断というのはおおかた同じ結論になることが多く、買う/買わないの分別に価値が介在することはそう多くありません。

それよりも投資対象について、最終的にどのような性質の買い手に対して、どのようなニーズを喚起し、どのくらいの値段で売却=Exitするのか。こういったExitシナリオを明確に持った上で投資に参入することが成功の鍵なのです。

これはビジネス・事業造りにおいても共通しています。多くの人がビジネスを立ち上げる際、自分の身の回りで感じた不便さや、「こんなサービスがあったら便利だな」程度のインサイトを根拠に動き出し始めてしまいますが、これは大きな間違いです。

新しいビジネスを立ち上げる際は、顧客が商品・サービスに対してお金を支払う姿が浮かび上がるようでなければ決して成立しません。つまり商品・サービスにとってのExitシナリオがありありと描けていることが必要不可欠なのです。