完璧主義に縛られてはいけない

「結論から考える」という仮説思考力を語る上で、大前提となる「哲学」があります。

それは、時間をかけて完璧に行うよりは、まずは精度が低くても一度やってから修正を加えていくということです。これは相手の期待値がつかめないときに特に有効です。

細谷功『今すぐできて、一生役立つ 地頭力のはじめ方』(大和書房)
細谷功『今すぐできて、一生役立つ 地頭力のはじめ方』(大和書房)

これはケースバイケースであって、私たちの日常生活でも「正確性」を優先して十分な精度が得られるまで時間をかけることが要求される場面と、「正確性」は二の次でも「65点の」(あるいはもっと低い精度でも)結論を出してスピーディーに先に進むことが要求される場面があります。

ただし、実際には日常生活でもビジネスの現場でも、圧倒的に後者の場面、すなわち「正確に誤るよりは漠然と正しくありたい」ことが要求される場面のほうが多いのではないかと思います。

人は必要以上に正確性にこだわって、すばやい結論を犠牲にしてしまっているのではないかと思います。これはとくに、効率よりも完璧主義が求められてしまう環境や組織において多く見られる現象です。

まずは「65点」でいい

完璧主義は、仮説思考で「向こう側に」離れることを阻害する最も強い求心力となります。「いまの情報で仮の結論を考える」が仮説思考ですが、完璧主義に陥ると、この発想ができなくなります。そもそも不確定なことを考えるのですから、「だめな理由」や「できない理由」をあげようと思えばいくらでもあげられます。

だめな理由、できない理由からの呪縛を打ち破らなければ、仮説思考ができるようにはなりません。完璧な解答や正しい解答にこだわって「そんなの無理だ」とあきらめるのか、それとも、まずは「65点」の答え(「最低の合格ラインの少し上ぐらい」というイメージでこう表現していますが、場合によっては「まず何かアウトプットする」という観点から言えば「20点」でも「30点」でも良い場合だってあります)を出してから先に進もうとするのか。

どちらの発想をするかによって、結果は大きく違ってきます。とくに、「もともと正解がない」ことに仮説思考で取り組む場合には、「だめな理由」「できない理由」は大きな阻害要因となります。

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