会議では声が大きい人が勝つ傾向にありますが、これは主催者にとって切実な悩みの一つでしょう。というのも、声の大きさは、必ずしも意見の質や量と合致していないからです。
とくにその傾向が顕著なのは、発散系の会議です。本当はいいアイデアをたくさん持っている人がいるのに、主張が強い人に遠慮して、発言を控えてしまう。かといって、一人ずつ順番に発言の機会を与えるやり方もお勧めできません。アイデアを持っていない人に機会を与えれば、それだけアイデアを持っている人の発言の時間が削られてしまうからです。
発散系会議の理想は、持っているアイデアの数と発言機会が比例していることです。そこで活躍するのが、「場所、機材」の個所でも紹介した付箋紙です。付箋紙一枚に書ける量はみんな同じなので、声の小さい人も気兼ねなくアイデアを書けます。アイデアを数多く持っている人はその数に応じて複数枚を書けばいいし、ない人は無理して書かなくてもいい。埋もれがちだったアイデアも、こうした工夫で漏れなく拾うことができます。
収束系の会議では、フレームワークの活用も有効です。たとえば経営分析では3C(Customer=顧客、Competitor=競合、Company=自社)などの切り口を使いますが、このように視点を整理したフレームをあらかじめ用意しておくと、声の大きな人に引きずられて話が脱線することを防げます。
収束系、発散系の会議どちらにしても、できれば主催者とは別に、会議の進行を管理する人を立てておくといいでしょう。主催者は一般的に会議の内容にも介入しますが、それゆえ声の大きな人と意見が対立した場合、余計な気を使うことになる。また主催者自身が熱くなってしまい、自ら声の大きな人となって反感を買う恐れも出てきます。その点、進行管理に徹する役割の人を一人用意しておけば、誰に対してもカドが立たずに会議を進められるのではないでしょうか。