「駅を使う人」を「街で過ごす人」に
かつて津田沼の大型店は、豊富な品ぞろえやセールによって、周辺地域から買い物客を呼び込んだ。しかし、周辺の大型商業施設やインターネットへと買い物の選択肢が広がるにつれ、駅前に大型店が集まっていることの優位性は弱まっていった。駅を利用する人が多くても、その人たちが買い物をする場所まで津田沼になるとは限らない。
そのなかで、近隣住民や駅利用者に繰り返し使ってもらうことの重要性が増している。Southでは、通勤帰りに食品を買い足すことも、休日に食事や映画を楽しむこともできる。
こうしたテナント構成は、一度の買い物で多くの商品を買ってもらうだけでなく、暮らしのさまざまな場面で施設を利用してもらうための工夫だと捉えられる。地元住民の利用を重視する点では、大塚さんが語った商売の変化とも重なる。
冒頭で見たパルコA館跡は、現在、広場と駐車・駐輪場になっている。本格開発までの暫定利用であり、これが駅前の最終的な姿というわけではない。だが、現時点で駅前一等地を生かせていないことを考えると、かつては売り上げ上位の商業施設がひしめいていた津田沼の変化と、課題が浮かび上がってくる。
つまり、津田沼が抱える課題は、駅前に集まる人の多さを、そこで買い物をし、時間を過ごす理由にどう結びつけるかにある。かつての大型店と同じ売り場を戻すだけでは、買い物先が分散した現在の需要を捉えきれない。誰のどんな用事を引き受ける場所にするのか。店の名前だけでなく、その役割から駅前をつくり直すことが求められている。
津田沼で起きているのは、店の看板の交代だけでなく、駅前で人を集める方法の変化なのである。
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます

