転倒による骨折は、年をとるほど寝たきりのリスクを高め、寿命を縮める。高齢者だけでなく、40代50代の中年期に骨が脆いことも、将来的なリスクを高めるため注意が必要だ。骨の丈夫さは、栄養素以外に重要な観点があるという。今日からできる簡単習慣を紹介したい。
笑顔の女性
写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです

老化を促進する悪玉物質ができる

「笑いのない生活」は骨折リスクを高める可能性あり――そんなユニークな研究を昭和医科大学医学部の山岸昌一医師が発表した。

これは長崎県のある地区の一般住民健診を受けた225人を対象に「老化物質であるAGE(終末糖化産物)の測定」を行ってわかったことだ。

体内にAGEが蓄積されるほど、老化が促進され、病気になりやすく寿命が短くなることが多くの研究で報告されている。骨にAGEが蓄積すれば骨が老化して折れやすくなり、肌の奥にAGEがたまれば、コラーゲン繊維の機能が低下して皮膚がたるんだり、シワが刻まれやすくなる。最近では薄毛の原因のひとつになることもわかってきた。

そもそもAGEは、どのように発生するのか。

山岸医師がこう説明する。

「老化の最大の要因は、体内に取り込んだ酸素の一部が活性酸素に変わる『酸化』と『糖化』です。糖化とは、体内で過剰になったブドウ糖(糖類)が体の重要な構成因子であるタンパク質にくっつき、その結果、タンパク質が劣化してしまうこと。たとえていうなら、体が砂糖漬けでベタベタになってしまうような現象をいいます。この時体内で老化を促進する悪玉物質ができ、それがAGEと呼ばれるのです」

正常な形のタンパク質に戻れなくなってしまう

つまりAGEは食事では高血糖状態の時に発生するので、「早食いやドカ食い、また糖分が多く含まれた消化吸収の良いものを多量摂取すれば、食後に血糖値が急上昇するので当然AGEがたまりやすくなります」と山岸医師。

そのほか、喫煙や運動不足、睡眠不足、精神的ストレスによってもAGEの蓄積量が増えることが明らかになってきている。

糖化が初期の段階であればタンパク質は元の形に戻ることができるが、糖化が長期間続くとタンパク質は劣化、変性し、AGEとなって元の正常な形のタンパク質に戻れなくなってしまう。

「体のタンパク質のおよそ3割はコラーゲンで占められています。みなさんがよく聞く皮膚だけではなくて、血管や目、骨、軟骨、脳などあらゆるところに存在しています。このコラーゲンが糖化し、AGE化すると、骨がもろくなったり、動脈硬化や白内障、変形性関節症などさまざまな機能障害が起きてしまうのです」

骨にAGEが蓄積すればもろくなって最終的には骨粗しょう症が引き起こされてしまうというわけだ。