よく笑う人は老化物質の蓄積が抑えられる
実は「AGE」とは、さまざまな物質の総称であるという。山岸医師はその中のひとつ、「ペントシジン」が尿中にどれだけ含まれているかを測定することにした。
「ペントシジンは測定が簡単で、尿中のペントシジン値が高ければ体の中にAGEがたまっている、全身のAGEの量と相関していることが、多くの研究で示されています。そこで住民健診で尿中にペントシジンがどれだけ含まれているかを測定し、骨や認知機能、転びやすさなど年を取った時に起こってくる老年症候群との関連を調べました」
その結果、導き出された結論が二つあり、一つは「尿中のペントシジン値が高い(=AGEが蓄積している)人は転んだ時に骨折しやすい」ということ。骨折歴がある人ほどペントシジンの値が高かったという。
もう一つは、アンケート調査で「毎日笑う」「月に3回以上笑う」「笑うのは月に3回未満」――の回答の中から選択してもらうと、笑顔の頻度が高くなるにつれて尿中のペントシジンの値が低下することが認められた。つまり、「よく笑う人は、老化物質AGEの蓄積が抑えられている」ということだ。
骨量(骨の硬さ、強さ)のピークは20代
この研究成果は、論文引用頻度の高い国際学術誌『Rejuvenation Research』に掲載された。
「この研究結果から言えることは、日頃笑っていないような生活をしていると、AGEがたまってきてしまう可能性があるということです」と山岸医師が分析する。
「またアンケート調査で転倒による骨折歴なども調べており、これも尿中のペントシジンの値と関係がありました。骨折歴がある人ほどペントシジンの値が高いということです。そうするとダイレクトな結びつきではないのですが、日頃笑っていないような生活、ストレスが多い生活を送っているとAGEが蓄積され、骨がもろくなってしまうことが考えられます」
骨量(骨の硬さ、強さ)のピークは20代。それが45歳頃までは維持されるが、女性は50歳前後の閉経を境に女性ホルモンの減少で骨が弱くなりやすい。男性もゆるやかではあるものの加齢とともに骨量は減っていく。
骨折治療の経験が豊富な埼玉協同病院関節治療センターセンター長の仁平高太郎医師は「特に骨がスカスカになる『骨粗しょう症』になると、骨折リスクが急激に高まる」と指摘する。
「例えば骨粗しょう症によって起きる脊椎の圧迫骨折は、痛みを全く感じないこともありますし、慢性的腰痛と捉えていることもあり得ます」
圧迫骨折は気づかぬうちに1カ所、2カ所と折れていくため、通称「いつの間にか骨折」と言われ、男女ともに50代から起きる可能性があるという。

