密室のジムでの誤算 高熱が2日続く

今年はインフルエンザが異例の早期に流行している。原因として、コロナ禍でウイルスに対する人の免疫が低下したから、また東南アジアで流行したウイルスが持ち込まれたためなど、いくつかの説が指摘されている。そんな折、時々取材にうかがう渡辺賢治医師がインフルエンザに感染したと聞いた。この経過と対策が読者の役に立つと考え、本稿を執筆している。

渡辺医師は、慶應義塾大学医学部漢方医学センター長などを経て、現在は1931年に開設された歴史ある漢方専門医院、修琴堂大塚医院の院長を務め、日本内科学会総合内科専門医でもある。西洋薬と漢方薬に精通している医師である。

ウイルスの潜伏期間から逆算し、「おそらくジム内で感染したのではないか」と、渡辺医師は振り返る。

「ジムは密室でトレーニングするうえに、誰もマスクをしません。体内にウイルスが入りやすい状況ということですね。しかもジムでは筋トレなどで体に疲労が蓄積し、免疫力が一時的に低下している状態でした。そのためウイルスを撃退できず、体内に入り込んだウイルスの増殖を許してしまい、“発症”したのではないかと思います」

インフルエンザウイルスの場合、1日で100万倍に増殖するといわれる。渡辺医師は水曜日にジムに行き、木曜日は朝から体の節々が痛み、38.5度の発熱。これはまずいと、漢方薬(大青竜湯だいせいりゅうとう=麻黄湯まおうとう+越婢加朮湯えっぴかじゅっとう)を服用したという。

ウイルスを直接たたく西洋薬(抗ウイルス薬)に対して、漢方薬は自分がもつウイルスと闘う力、すなわち免疫力を最大に高めることが特徴だ。

しかし金曜日になっても熱は下がらず、夜まで39度の発熱が続く。

「漢方薬では熱を味方にします」と渡辺医師が補足する。

「発熱によってウイルスの増殖を阻害し、免疫を活性化しますから、むやみに解熱をしないことが治療の原則です」(同)

ただし、熱を産生するのは筋肉であるため、筋肉量の少ない高齢者などでは発熱できないことがある。

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