中国産は国産のほぼ半値。それでも、国産ネギは価格競争に乗るしかないのか。農業ライターの鈴木雄人さんは「外食産業が中国産を選ぶ理由は、安さだけではない。年間を通じて同じ量・品質・価格で供給できることが大きい。ならば、国産も農家がまとまれば対抗できる」という。実際、脱サラ農家の清水寅さんが立ち上げた「葱出荷組合zero」には全国約150社が参加し、市場を通さずスーパーや外食企業と直接取引する仕組みを築いている。国産ネギを安売りせずに売る、その勝ち筋とは――。(前編)
輸入ネギのほぼ100%が中国産
日本の食卓に欠かせない定番野菜、長ネギ。農林水産省の「野菜生産出荷統計」によると、2024年における国内の長ネギ作付面積は2万1200ヘクタール、出荷量は33万3000トンに上る。キャベツやレタス、トマトなどと並び、まさに国民の食生活を支える「インフラ野菜」の一角を占めている。
その長ネギ市場では、日本農業の衰退と外国産への依存という問題が進行している。
農林水産省の「農林水産物品目別実績(輸出・輸入)」および「野菜生産出荷統計」のデータから、直近10年間(2015年〜2025年)の国内長ネギ市場を比較してみると、高齢化や離農、採算悪化によって国内の生産基盤が縮小し、年間5万トン以上の国産出荷量が失われた。その一方で、年間約6万トン規模の輸入長ネギが日本市場へ流れていることがわかる。
長ネギの国内作付面積:2015年の2万2800ヘクタールから、2025年には2万800ヘクタールへと2000ヘクタール減少。
長ネギの国内出荷量:2015年の38万3100トンから、2025年には33万2200トンへと約5万900トン減少。
ネギ(内リーキ・ねぎ属を除く)の生鮮輸入量:2015年の約5万6800トンから、2025年においては約6万7400トンを輸入。
長ネギの国内出荷量:2015年の38万3100トンから、2025年には33万2200トンへと約5万900トン減少。
ネギ(内リーキ・ねぎ属を除く)の生鮮輸入量:2015年の約5万6800トンから、2025年においては約6万7400トンを輸入。
輸入されているネギは、ほぼ100%が中国産だ。
独立行政法人農畜産業振興機構によると、中国における輸出用ネギの2大産地は、夏秋作型主体の山東省と、冬春作型主体の福建省。圃場における単収は10アールあたり約4.5〜4.6トンと、日本国内の平均単収(10アールあたり約2.0トン)の倍以上の生産効率を誇る。
この日中の生産水準の差は、そのまま「価格差」となって日本の市場に押し寄せた。農林水産物品目別実績(輸出・輸入)によると、輸入生鮮ネギの平均単価は2023年が1キロあたり138円、2024年が177円、2025年が148円と150円前後で推移している。東京都中央卸売市場における国産長ネギの平均取引価格が1キロあたり330円前後で推移するのに対し、中国産は国産のほぼ半値の水準にある。


