世話をしたぶんだけ実りとなって返ってくる

自宅から歩いて10分の「シェア畑」。雲の切れ間から差し込んだ日差しが、でっぷりと太ったナスを照らしています。最盛期には週20本も実をつけましたが、そろそろ役目を終える時期です。隣の畝では初挑戦のロマネスコが、まだ小さな葉を風に揺らしています。土に指を差し入れると、温かく湿った感触があります。空気をたっぷり含んだ良い状態です。勉強と試行錯誤の甲斐あって、私の管理する区画は周りと比べても収穫量が多いのがひそかな自慢です。

土いじりの始まりは、庭先に並べたプランター菜園でした。ゴーヤを育ててみようと苗を植えたのですが、弱々しく伸びたつるに小さな実が数個だけ。親づるの先を摘心して、実のつきやすい子づるや孫づるを伸ばせばよかったのですが、当時の私には知識がなかったのです。トマトを植えたらコガネムシが卵を産み付け、地中で孵化ふかした20匹を超える幼虫に根をかじられて、枯れてしまったこともありました。プランターの限界を感じていました。

近くにシェア畑が開園することを知ったのは、10年前のことです。すぐに申し込み、プランターでの苦い経験を踏まえて、まず通信教育で野菜づくりを学びました。土づくりや作物ごとの特徴、病害虫対策から収穫量を増やすコツまで、基本を身につけてから畑に立ったのです。春はナバナ、イチゴ、キャベツ、夏はピーマン、キュウリ、オクラ、秋は落花生、カブ、ルッコラ、冬は白菜、大根、ブロッコリー。季節ごとに、自分たちでは食べ切れないほどの野菜が採れるようになりました。

畑仕事は病害虫との戦いです。なかでも手ごわいのはアブラムシです。新芽にびっしりと取りつき、防虫ネットの目さえすり抜けて、驚くほどの勢いで増えるのです。とくに手がかかるのはソラマメです。冬は保温に努め、春先のアブラムシ対策を徹底し、根をしっかり張らせます。すると初夏には、周囲の区画と比べて背丈が倍ほどにもなります。世話をしたぶんだけ実りとなって返ってくるのが、野菜づくりの楽しさです。

製品の機能ではなく顧客の経営課題から考える

企業システムの稼働状況を可視化するのが、New Relicのサービスです。買い物も予約も振り込みも、今やスマホのアプリで済む時代です。アプリの多くはクラウド上で動くため、自社のサーバーで運用していた頃のようには目が届きません。起きた問題をいち早く見つけ、すぐに手を打てるよう支えるのが私たちの役割です。

私は今年4月、日本法人の2代目の社長に就任しました。当社は企業が相次いでデジタルサービスを立ち上げた2018年に設立され、需要の波に乗って成長しましたが、今はやや踊り場に差しかかっています。社内では現在を、新たな成長軌道へ乗せる転換期と位置づけています。

次の主戦場はAIです。企業の基幹業務にAIが組み込まれれば、障害の発見から修復までの自動化が進む一方、AIエージェントが暴走しないよう監視する仕組みも欠かせなくなります。私たちが向き合う相手も、デジタル部門から基幹システムを担う情報システム部門へと変わりつつあります。ツールの便利さを説くだけでは足りず、システムの状態が売り上げや利益にどうつながるのかを、経営層が判断できる形で示す必要があります。そのためには製品の機能からではなく、顧客の経営課題から発想する組織へと変わらなければなりません。

私が組織づくりの指針としているのは、MITのダニエル・キム氏が提唱した「組織の成功循環モデル」です。関係の質が高まれば思考の質が上がり、行動の質、結果の質へとつながっていく。私たちの組織は社員同士の関係の質が高いという強みがある一方で、市場が大きく変わるなか戦略を描く思考の質を高めていく段階にあります。

私も折に触れ社内に発信し、社員が新たな視点を持てるよう働きかけています。空気と栄養をたっぷり含んだ土では、野菜の根が深く広く伸びていきます。社員が自ら考え、語り合える場を広げることで、組織にもそんな土壌を耕していきたいです。

さて、今日の収穫はナスが数本。今年は妻が「毎日ナスばかり、もういい加減にして」と音を上げたので、週末は私が台所に立って調理しています。帰ったら定番のグラタンを作るつもりです。とろとろになった果肉がホワイトソースに絡んで、最高の一皿になってくれるでしょう。

(構成=渡辺一朗 撮影=宇佐美雅浩)

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