中国産ネギが外食産業に選ばれる理由

国内の需要に対し約15%を占める中国産。しかし、普段の生活の中で中国産の長ネギを見ることはほとんどない。では、年間約6万トンもの長ネギは、一体どこへ行っているのか。その行き先こそが、ラーメン店やファミリーレストラン、惣菜工場やカットネギ工場といった「外食・中食」の現場である。

なぜ、日本の外食・中食市場はこれほど中国産を使用しているのか。その理由は単なる「安さ」だけではない。

国産ネギの多くがスーパーマーケットなどの「家庭消費用」に仕向けられるのに対し、業務用市場では外食企業がメニューの販売価格と原価率を厳格に固定しているため、天候不順で価格が乱高下する国産品を使うリスクを回避せざるを得ない。価格が安く、年間を通じて品質・量・価格がブレない「定時・定量・定品質・定価格」を兼ね備えた中国産は、外食や中食にとって外せない選択肢となっているのである。

うどん
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農家を追い詰める「市場競り」

一方で、日本の農家が置かれてきた流通環境には、市場原理が生み出す不条理が存在する。

一般的な工業製品であれば、製造原価に適切な利益を上乗せして販売価格を設定できる。しかし、日本の農産物流通の中心である卸売市場では、生産原価や農家の努力とは無関係に、その日の需給バランスだけで価格が決まる。とくに長期保存が利かない生鮮野菜は出荷を止めることができない。資材費や燃料代、人件費がどれほど高騰しようとも、それを販売価格へ転嫁する仕組みが構造的に存在しないのだ。

天候に恵まれて豊作になれば、市場にモノがあふれて価格は暴落する。もちろん、この対策として、国のセーフティーネットはあるが、補填基準は過去の平均相場ベースのため近年の資材費高騰には追いつかない。結局のところ、暴落リスクとコスト高のシワ寄せは個々の農家が背負わされているのだ。

国も手をこまねいているわけではない。政府は2026年4月に「食料システム法」を施行。コスト指標の可視化や価格協議の努力義務化に乗り出した。しかし同法に強制力はなく、行政自体が「価格決定の基本は需給である」という原則を維持しているため、豊作による市場暴落を止める手立てにはなり得ないのが実態だ。