5つの看板はすべて駅前から消えた

ほぼ同時期に出そろった大型店は、一度に消えたわけではない。

最初に撤退したのは髙島屋だ。1988年8月28日に閉店。ダイエーの旧津田沼店は2005年11月30日、丸井津田沼店は2007年2月12日、津田沼PARCOは2023年2月28日に営業を終えた。そして2024年9月29日、イトーヨーカドー津田沼店が閉店した。

【図表】5ブランドの営業期間と、建物・跡地のいま
図表=プレジデントオンライン編集部
5ブランドの営業期間と、建物・跡地のいま。撤退は1988年の髙島屋から2024年のヨーカドーまで36年にわたり、東葉高速鉄道やイオンの開業より前に始まっていた

この間、駅前の商業環境を変える出来事もあった。1996年には東葉高速鉄道が開業。習志野市の「JR津田沼駅周辺地域まちづくり検討方針」は、それに伴うJR津田沼駅と新津田沼駅の乗降客の減少を、駅周辺の販売額が落ち込んだ要因の一つに挙げている。また、津田沼のイオンは現在、「North」と「South」の2館に分かれているが、このうち、現在のNorthに当たるイオン津田沼ショッピングセンターが2003年に開業した。

しかし、髙島屋の撤退は、東葉高速鉄道の開業より8年、イオンの開業より15年早い。大型店の撤退は、これらの変化に先立って始まっていた。東葉高速鉄道の開業による乗降客の減少や、イオンとの競争だけで、5ブランドの撤退をひとまとめには説明できない。

ブランド撤退後の動きも、施設によって異なる。ダイエーには、2005年の旧店閉店後、再び駅前へ戻った時期もある。旧サンペデックを改装したモリシア津田沼では、2017年9月5日、イオンリテールからダイエーへ店舗運営が移管された。その後、2025年3月30日の施設閉館まで営業を続けた。

2025年3月に閉館した「モリシア津田沼」。かつて髙島屋とダイエーが入った建物には、施設名の表示が残っている
筆者撮影
2025年3月に閉館した「モリシア津田沼」。かつて髙島屋とダイエーが入った建物には、施設名の表示が残っている

同じ時期に集まったブランドは、ゆっくりと、バラバラと消えていったのだ。

パルコ閉店も「あまり喪失感はなかった」

北口で商店経営を続けてきた大塚さんは、PARCOの閉店にも「あまり喪失感はなかった」と振り返る。

「地元の人間にしてみれば、入れ替わり立ち替わり大型商業施設が撤退しても、新しい人が来るわけですよ。時代の変化とともに変わるのは当たり前だから」

一方で、周辺部に車で行きやすい大型商業施設が増え、「そちらに取られてしまう分もある」とも話す。それでも「中の商圏は依然として強い」というのが、大塚さんの見方だ。

大塚さんは、広域から来る買い物客に支えられていた商売が、増えた地元住民を相手にするものへ変わってきたとみている。丸井やPARCOは、こうした需要の変化に対応しきれなかったのではないかという。イトーヨーカドーについても、高齢者には受けがよかったが、若い人にはマッチしていなかったのではないか、と話す。