同僚から支持されない人は早死にする?
われわれはそれぞれ、状況をどのように解釈し、どのように対処するかを決定づける一連の信条や思考傾向を持っている。この思考傾向はわれわれの他者との付き合い方を形づくり、したがって一緒に働く人々に目に見えない大きな影響をおよぼす。たとえば、人を信用しない思考傾向の人は、職場を競争の場とみなし、政治的に動くことによって、他の人々を犠牲にして自分の利益を高めようとする。こうした行動は他の人々のストレスや疲労の度合いを高め、組織の有効性を損なうことになる。
それに対し、人の考えに進んで耳を傾け、人を信頼し、人に寛大な思考傾向は、他の人々に望ましい影響をおよぼす行動を促進する。ペンシルベニア大学ウォートン・スクール教授のアダム・グラントは、新著『Give and Take』で、寛大な思考傾向が大きな利益を生み出すことを示す見事な科学的証拠を紹介している。
強力な例を1つあげよう。健康な社員を対象にした20年の追跡調査によって、同僚からの社会的支援がある人々は、天寿をまっとうせずして死ぬ可能性が、そうしたサポートがない人々より2.5倍低いことが明らかになったのだ。だから、職場で他の人々をサポートすることは、彼らの1日を明るくするだけでなく、彼らの命を救うのに一役買うと言っても過言ではないのである。