基本給を上げ続けても人が集まらない
増えているのは初任給だけではない。池田社長が説明する。
「基本給も4年前に6%上げて、次の年に9%、その次の年が8%、そして今年も8%くらいの値上げになります」
ただし、ゆで太郎システムでは冬のボーナスは支給されない。その代わりに基本給を高くしていることになる。
「5年前に社内アンケートをとって、冬のボーナスをもらうのと基本給が上がるのとどっちがいいか訊いたことがあります。そのときは冬のボーナスを選択する意見が多かったんですが、去年、アンケートをとってみたら、若い社員のほとんどが『ボーナスではなく、毎月の給料で先にもらいたい』という意見でした。だから冬のボーナスを廃止して、基本給を上げることにしました」
社員の声を聞きながら、待遇引き上げを行っているのだ。「それでも、思うように人が集まらない」と、池田社長は言う。店舗拡大に見合う人材を確保するには、外国人を雇用するしかないのだ。
外国人雇用がなければ経営が成り立たない
外国人の雇用を池田社長が考えはじめたのは2018年ごろからだったという。2019年に出入国管理及び難民認定法(入管法)が改正されて、「特定技能」という外国人向け在留資格が創設されて、外国人労働者の受け入れが拡大されることになっていた。これによって、外食業も外国人労働者を雇用できるようになった。
特定技能の資格創設は、人手不足が大きな理由である。少子高齢化による働き手の減少は止まらず、それを補うための高齢者の就労や女性の社会進出も限界近くになるなかで、外国人労働者の存在は日本の産業が成長していくために不可欠なものになってきているのだ。
実際、外国人労働者数は増えつづけてきている。厚生労働省の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によれば2025年10月末時点における日本で働く外国人労働者の数は、257万人に達している。2008年が48万人なので、17年間で5倍以上にも増えたことになる。
それでも、人手不足が叫ばれているのが現状である。外国人労働者の存在がなければ、日本の人手不足はさらに深刻なものになっていたことは間違いないし、日本経済そのものが成り立たなくなっていた可能性もある。外国人労働者を雇用しないことにはやっていけないのが日本経済の現状なのだ。

